2015年9月4日金曜日

仕事の“不安”、仕事の“不満”


最近、会社を辞めて独立、起業したというある女性のブログが目にとまりました。

起業してからのエピソード、起業して初めて気づいたこと、その他苦労話が書かれていました。
私自身が会社員と事業主との違いで感じてきたこと、独立してから経験してきたこととの共通点もいろいろあったので、「自分もそんなことがあった」などと思いながら、興味深く見ていました。

この方も独立して起業した多くの人たちと同様に、独立したての頃はなかなか仕事が受注できず、自分なりにいろいろ工夫はしてみるものの、なかなか結果に結びつかず、それまでの収入が大きく減ったり途絶えたりという経験をし、毎日が不安で不安で仕方がなかったそうです。

独立するからには、そういうことも起こり得るという覚悟も必要ですし、またそうならないように、いろいろな手当てをしておく必要があります。生活資金も含めて十分なお金を用意する、顧客先や仕事を得られる場所を事前に確保しておくなどということがありますが、すべて思い通りに行く訳もなく、不安ということは常について回ります。

ただ、この方の言葉で一つ、より一層共感を深めたものがありました。
それは、「独立したことで“仕事の不安”はものすごく増えたけど、同時にそれまでたくさんあった“仕事の不満”はまったくなくなった」ということです。

会社勤めの頃は、自分のやりたくない仕事だったり、嫌いな上司だったり、職場環境であったり、いつも何かしらに“不満”を感じていたが、起業してからはそれがまったく無くなり、「不安はあっても不満はなくなった」と書かれていました。

これは自分の経験に照らしてみてもまったく同じで、会社員時代は、自分の力だけではどうしようもない“不満”が常に先にあり、そのために最後は他責にできてしまうという部分がありました。

ただ、この状態は独立、起業などをすると、良くも悪くも自分の思い通りにできますから、“不満”というものはなくなり、かわりに先が見えないことによる“不安”が大きく増えていきます。この“不安”を解消するには、事業を成功させること以外に方法はありません。

一般的に見ていると、会社勤めの人は、会社の愚痴を含めて“不満”を語ることが多く、経営者は様々な“不安”を抱えていることが多いという気がします。

ここで思うのは、「仕事の不安」と「仕事の不満」には、トレードオフの要素があるのではないかということです。
もしもそうであるならば、「仕事の不満」を減らしたければ、「仕事の不安」の比率を高めればよいということになります。ここでいう“不安”とは、“先行きがどうなるのか想定できない”ということです。

これは何も起業などという大げさなことではなく、会社の中でできることもたくさんあるはずです。例えば「やったことがない仕事に取り組んでみる」「話したことがない人と話してみる」「知らない場所に行ってみる」などということで良いと思います。

私は「“不安”は自分次第で解決できるが、“不満”はそうはいかない」と思っています。ですから、「仕事の不満」の多い人の方が、自力ではどうにもならない閉塞感が強く、仕事を通じての幸福感が薄いのではないかと感じます。

未知のこと、先行きがどうなるのかわからない“不安な仕事”にあえて取り組んでみると、「仕事の不満」を減らすことにつながるかもしれません。

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