2015年10月28日水曜日

やっぱりキーマンでなければ務まらない採用担当者



このところ、採用に苦労している会社からご相談をいただくことが多くなっています。
そもそも「うちはうまく行っているので問題はありません」などという話は、ここ数年耳にしませんから、人材を求めている企業のほとんどが、何らかの課題を抱えているのではないでしょうか。

これは今に始まったことではありませんが、採用担当者の重要性は常に言われることです。サラリーマンの生涯賃金は、平均で2億円前後などといわれますから、一人採用するということは、2億円の買い物をするということです。採用担当者にはかなりの目利きが要求されるということです。

そうは言っても、それほど能力が高くて経験豊富な採用担当者ばかりではありません。若者同士で話が合うようにと新人に近い者だったり、現場で芽が出なかった者を別の形で活かそうとして担当させたりというようなことは、多くの会社であることでしょう。

そういう不足部分をカバーするため、面接の段階が進むごとに経験豊富な上席者に面接官をさせたり、最終面接はすべて社長が行うなどということで、しっかりと人材の見極めをしようとします。ごく一般的な考え方だと思います。

ただ、最近ある会社で行なわれていた採用活動の様子を見ていて、やはり採用担当者はキーマンでなければ務まらないと思うようなことがありました。

その会社の採用活動があまりうまく行っていないので、進め方を見てアドバイスが欲しいとの依頼でしたが、採用担当者は40才くらいの男性で、他に受付などを手伝うアシスタントの女性はいるものの、説明会や初回の訪問時から一次面接まで、採用活動の前段部分はすべて男性が担当しています。

第一印象としては、少し思考が独特な人で、良く言えば視点が面白い、悪く言えばちょっと変わり者という人ですが、会社もそのあたりはわかっていて、採用活動の後段である内定に至るまでの数回の面接は、別の部門長と役員が行うことになっています。自社にそぐわないような人材を採用してしまうような誤りは、それで防ぐことができるでしょう。

ただ、実際にその人が活動している様子を見ていると、やはりそれなりのマイナス要素がそこかしこに見受けられます。
例えば、新卒向けの説明会では、ほとんど会社説明をしないまま、いきなり質問タイムに入って、小一時間をそのまま進めています。ご本人曰く、「説明するより質問に答えてあげた方が理解しやすいから」なのだそうです。全然ダメとは言いませんが、明らかに参加者が引いていく様子が見えます。本来欲しい人材を「辞退」の形で失っている恐れがあります。他の誰かが指導なりアドバイスなりをすればよいと思うのですが、そこまで手が回っていないようです。

同じようなことは一次面接の中でもあり、例えばどう考えても仕事に関係がなさそうな質問を延々としていたり、非常にピンポイントのどうでも良さそうなことを、「面白い」「個性がある」などと評価していたりします。
もちろん全然ダメではありませんが、応募者には「何でそんなことを聞くのだろう」という疑問や不満の様子が見られます。やはり同じように、欲しい人材を遠ざけている可能性があります。

これを「採用担当に向いていない人選をした会社が悪い」と言ってしまえばそれまでですが、これは極端な例だとしても、本当に「向いている」と自信を持って言える人材を配置している会社は、実はそれほど多くはありません。そもそもそういう人材は、なかなかいるものではありません。

それでも、一般的には「採用担当はいい人に決まっているから、それ以外の社員をよく見なさい」などといわれるぐらいですから、そこに到達していないと見られることは致命的マイナスです。

やはり採用担当者は、相応の能力を持つ者が全体に一貫して関わるということが、必須の前提条件だということを、あらためて感じた一件でした。


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