2015年10月5日月曜日

パワーポイントが大好きな会社と禁止する会社に感じた違い


マイクロソフトのプレゼンテーションツールである「パワーポイント」は、様々な場で活用されています。
話によると、最も初期のものがリリースされて以来、10億台以上のコンピューターにインストールされ、現在は1秒間に約350回ものパワーポイントによるプレゼンテーションが行われているそうです。

私のようなコンサルタントの場合、パワーポイントは必須アイテムとして使いこなすことが要求されます。また、クライアントによって違いがありますが、今までお付き合いした会社の中には、「パワーポイント大好き」といっても良い会社はいくつもあり、特にルール化されている訳ではないにもかかわらず、作成する資料は何でもかんでもパワーポイントを使っています。
 
しかし最近、特にアメリカの企業リーダーに、パワーポイントでのプレゼンテーションを好まない人が増えてきているのだそうです。
アマゾンやフェイスブック、リンクトインといったアメリカの有名企業や、日本でもトヨタなどは、社内ミーティングでのパワーポイント使用を禁止しているそうです。

 その理由は意外に共通していて、例えばこんなことが挙げられています。

・まずは作業効率。やっぱり作成に時間がかかる。
・スライドは一見わかりやすく思うが、簡素化され過ぎていたり、抽象化されていたりして、読み解くことに時間がかかったり、誤解を招いたりする。
・図表や箇条書きでまとめると、自分の思考を深めることにつながらない。
・同じく思考が深まらないので、対話や討論が行いづらい。

要は、資料がかえってわかりづらくなり、社内ミーティングでは最も重要な「議論すること」には有益でないということです。

私がパワーポイント大好きな会社とお付き合いしていた時に思っていたのは、一にも二にも、とにかく作業効率的にムダということでした。資料の中身よりも、ただ見やすくするために簡略化したり、見栄えを良くするためにアニメーションを入れろなどと要望されたりしますから、同じレベルの資料でも、作業時間ばかりかかります。
その会社では、多くの社員がそれと同じような作業をしている訳ですから、壮大なムダという以外に何もないと思っていました。

しかし、今回パワーポイントを禁止する会社が言っている理由を見ていて、新たに一つ気づいたことがあります。
それは、「パワーポイント大好き」な会社では、それが理解しやすいと思っていることが多いのですが、この「理解しやすい」にこだわるのは、「異論が出ないようにしたい」ということで、要するに一方的な報告、説明だけにして、できるだけ「議論をせずに済ませたい」と考えていたように思えたということです。

パワーポイントを禁止している会社が重視している、「議論をすること」を避けているのではないかということで、実はそのためには、パワーポイントの資料の方が、結果的に都合が良かったのかもしれません。
ツールの使い方一つのことですが、それがその会社の持っている組織風土や課題を表しているのだということです。

私はパワーポイントは便利なツールだと思いますし、たぶんこれからも使っていきますが、この使い方を誤ると、意外に大きな落とし穴があるように思います。
やはり有効な場面、ふさわしい場面があって、それは社内の場合には、あまり多くないのではないでしょうか。


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