2018年7月4日水曜日

「会社訪問数」とミスマッチの関係


今は新卒の就職活動が真っ盛りな時期ですが、以前の「就職氷河期」といわれた時期と比べると、街中でリクルートスーツの学生を見かけることが、ずいぶん減った感じがします。
最近は「売り手市場」から、さらに企業にとっての「採用氷河期」とまで言われ始めていますから、そうなればそこまで多くの会社を回らなくても、内定を得られる確率は高まります。

そもそも学生の数が減っていることや、スーツ着用が不要の会社も増えていますが、大きいのはやはり早く内定が出るということで、そうなればリクルートスーツで動き回る時間も少なくて済むわけで、就活中の学生を見かける機会が減ったと感じるのは、そんな環境変化があるのでしょう。

こういう状況に対して、「ミスマッチの増加」を懸念する声があります。すぐに内定が出てしまうことで、浅い企業理解、短期の活動、少ない比較対象の中で安易に就職先を決めてしまいがちになり、ミスマッチによる短期の退職が増えてしまうのではないかといいます。
そう思うことは私も理解はできます。

ただ、私が以前に「七五三現象」(就職して3年以内に中卒の7割、高卒の5割、大卒の3割が離職する現象)を調べたときに思ったことがあります。
過去の統計データを見ていると、データがある20年以上前からほぼ一貫して、この現象がほとんど変わっていなかったのです。最近の若者は「我慢しない」「こらえ性がない」などといわれ、早期退職が多くの会社で問題視されていて、「いったいどのくらい増えているものなのか」を調べたところわかったことで、採用人数は景気変動やその年の求人倍率によって大きく変化していましたが、「七五三現象」については、若干の変動はあるものの、その大枠は変わっていませんでした。

ここで、私が思った一つの結論は、今の新卒採用というシステムのままである限り、一定のミスマッチは避けられないことで、その比率が「七五三現象」になるのだということでした。
これを逆説的に考えれば、その時の景気動向や採用環境がどうであっても、中卒の3割、高卒の5割、大卒の7割は、3年以上勤務するということになります。

いずれにしても、ミスマッチはどんな環境でも一定数は必ずあり、それは会社訪問の数が少なくても、企業研究が浅くても、短期間で安易に決めていても、あまり関係がありません。

個々の会社の採用活動においては、ミスマッチをいかに減らすかという努力はすべきですが、今の新卒採用の枠組み、手順から抜け出さない限り、ミスマッチの数自体は大きく変わることはないといえます。

最近は新卒の通年採用とか、本気のインターンシップとか、従来の進め方とは違う取り組みが増えてきていますが、ミスマッチ回避の本質は、こんな従来の枠から外れた取り組みにこそあるのかもしれません。


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