2019年3月11日月曜日

コンビニ24H営業で思う「ビジネス上のWin-Win」


コンビニ大手のセブンイレブンで、24時間営業のしばりについて、本部とある店舗オーナーの間で争いになっています。

フランチャイズ契約の条件だとして、あくまで24時間営業を要求する本部側と、人手不足のしわ寄せをすべて引き受けて、体力、精神ともに疲弊しているオーナー側とが、それぞれ言い分を述べていますが、本部側には問答無用の高圧的な姿勢も見られ、別のオーナーは高額な違約金を要求されたなどの話も出てきているため、どちらかというと本部側の企業に対する批判的な意見が多いようです。

オーナー側は本部との団体交渉を望んでいますが、あくまでオーナーは事業主で労働者ではないとする本部側は、今のところ団体交渉に応じる様子はありません。
オーナーの労働者性が最終的にどう判断されるかはまだわかりませんが、かつてプロ野球の選手会が労働組合として認められたことを考えると、事業主といいながら契約相手からの縛りが大きい点では、球団と選手の関係と似ている感じがします。法律に則って話し合えるなら、その方が良いのではないかと思います。

最近は他にも、サブリースと呼ばれるアパートの一括借り上げ、家賃保証制度の契約で、物件オーナーと管理会社のトラブルの話や、その他フランチャイズビジネスでのトラブルの話を聞きますが、これらに共通しているのが、本部とオーナーの関係が「ビジネス上のWin-Win」になっていないことです。

例えば、フランチャイズというのは、オーナーが本部の持つ商品やサービス、構築された仕組み、その他ノウハウを使う権利をもらい、その対価を本部に支払う仕組みです。
オーナーは、その権利によって経験がなくても短期間で成果が得られ、本部は自分たちの役割に専念できて、オーナーから対価が得られます。本部とオーナーが相乗効果で利益を高めるビジネスで、お互いがWin-Winの関係であることが本来の姿です。しかし最近は、それが本部側の都合に引きずられているケースが目につきます。

私が一番の問題と思うのは、「ビジネス環境の変化が契約条件に適切に反映されない」ということです。
コンビニの話で言えば、「店舗数が増えて飽和状態に近く、売上増が難しくなっていること」「扱う商品やサービスが大きく増えて、お店の業務負荷が高まっていること」「人手不足が顕著になり、働き手の確保が困難なこと」「防犯や災害拠点など公共性を持つようになったこと」といった環境変化があります。

ほとんどがオーナー側に降りかかることなので、これに対して本部側から契約条件の見直しを言い出すことはたぶんないでしょう。現状維持の方が、自分たちには不利益がなくて都合が良いからです。
行き詰ってどうしようもなくなったオーナーたちが声をあげ始めても、契約を盾に突っぱねるのは、やはり自分たちの利益確保を優先しているからでしょう。「契約だから」というのは、確かに理屈は合っていますが、自分たちさえ儲かればいい、損をしなければいいという姿勢に見えてしまいます。

ここ最近、飲食や小売など人手不足の影響が大きい業界では、店の営業時間を短縮したり定休日を設けたり、労働条件に配慮する動きが増えています。それによって売上が減ったとしても、人員確保の方がそれ以上に優先で、働く環境を整えなければ人が集まらないからです。そもそも人がいなければ店は営業ができないので、当然といえば当然のことでしょう。
これからは、短くした営業時間の中で、どうやって同レベルの売上利益を確保するかという工夫をしていくようになるのでしょう。そんな会社と従業員のWin-Winの関係が、必須要件になるのです。

これはコンビニをはじめ、フランチャイズのオーナーと本部の関係でも同じです。今のままでは加盟するオーナーがいなくなり、本部側の利益もどんどん縮んでしまうでしょう。本来目指していたはずのオーナーと本部のWin-Winの関係に立ち返らなければなりません。

会社間の取引でもそうです。下請けに無理難題を一方的に押し付ける元請けは、いずれ自分たちが衰退していくでしょう。Win-Winでない関係は絶対に長続きしません。
会社と社員の関係は言うまでもなく、Win-Winにするための環境整備は徐々に進んできていますが、それでも不当なリストラやハラスメントはなくならず、ブラック企業は相変わらず存在しています。

これらはみんな「ビジネス上のWin-Win」を崩していることばかりです。あらためてWin-Winの視点で、いろいろなことを考えてみる必要があるのではないでしょうか。


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