2020年3月26日木曜日

「在宅勤務は寂しい」という声


新型コロナの影響で、在宅勤務の対応を始める企業が増えています。
今回の件で、大規模な在宅勤務体制を早くから始めていたIT企業のGMOインターネットが、社員に対しておこなった「在宅勤務に関するアンケート」の結果が公表されています。

この結果を見ていくと、今回の在宅勤務体制については、9割近くがプラスの評価をしていますが、マイナス評価が一般事務や金融系グループ会社に多く、業務への支障の有無は「なかった」「あまりなかった」が7割を超えている一方、マイナス評価が多かった「一般事務・管理部門・営業管理部門」の職種と「金融系グループ各社」では、支障が「あった」「大いにあった」という回答比率が高くなっています。

支障の内容は、作業環境(設備)と、コミュニケーション(意思疎通)、営業・対外活動(対顧客)、その他業務面に大きく分けられ、設備面では「リモート環境が遅い/アクセスできない」「椅子机やPCサプライがないことによる作業効率低下」、コミュニケーション面では「コミュニケーションの減少」、業務面で「紙ベースの業務に支障」「業務上、在宅では対応が難しい」といった課題が挙げられていました。金融などの業務で顧客対面、紙ベースの業務ができないとなると、確かにいろいろ難しそうな感じがします。

自由意見の中で、メリットとして多く言われているのは、「朝晩の移動が想像以上に体力負担をしているものだと改めて感じた」「終業後タイムラグなしで育児ができる」など「通勤に関する負荷軽減」と、今までは同時進行が難しかったことや、活用できずに埋もれていたすきま時間が有効に使えるようになったことでの「可処分時間の増加」に関するものでした。ある程度予想通りの内容だといえるでしょう。

デメリットは作業環境や設備面の話が意外に多く、環境的には進んでいると思われるIT企業であっても、「社内ネットワークに接続できるデバイスがない」「リモート接続環境などで未整備のものがある」といったことがありました。これらはその気になれば順次改善ができることでしょう。

その他、思っていたよりも重要だと気づかされたことですが、住宅事情等で自宅の作業環境が左右されて、集中できないようなケースが結構あったことです。
「自宅のネット環境が遅くて作業効率が下がる」「モニター、テーブル、イスなど業務をおこなうのに適切な設備がなくて疲労がたまる」「打合せ中は静かにするなど家族に協力してもらっているが、家族にとってはストレス」「隣りで工事していて日中騒音がひどい」といったものがありました。
ウェブ会議では、「異論、質問、反応が少ない」「プライバシー問題でビデオを強制できないのでさらに表情がわからない」「家族や赤ちゃんがいると発言もしづらいのでは」という話もありました。
こういった点は、今後の課題になるのでしょう。

また、社長コメントとして、このアンケートでの評価結果はおおむね予想通りとした一方、「“(在宅が)寂しい”というコメントの多いのが印象的で、社員同士がコミュニケーションを取りながら仕事をすることが一定程度必要であることが伝わった」と話しています。
「寂しい」というのは、私も言われて初めて「なるほどそうか」と思いましたが、対顧客だけでなく、社員同士のちょっとした雑談も含めたコミュニケーションも、仕事をする上では重要だということをあらためて確認しました。
「場を共有する」というのは、やはり大事なことです。

この「在宅勤務」もそうですが、実際に本気でやってみないとわからないことがたくさんあります。
「働き方改革」の中ではテレワーク推進が言われていますが、そういう掛け声だけで物事が進むほど、単純ではないことがよくわかります。
このアンケート結果は、とても貴重な資料だと思います。


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