2022年2月21日月曜日

「表に出る仕事」を支える仕事の重み

あるテレビ番組で、芸能人の事務所独立の話題を取り上げていて、その中で大手事務所から独立して20年以上経つというある芸能人が、個人事務所で活動する苦労と難しさを語っていました。

 

個人事務所になると、自分が出演するなど表に出て露出すること以外に、契約交渉やスケジュール管理、経理や税金ほか金銭面の管理、その他雑務をすべて自分でこなさなければならず、その仕事の比率はもしかすると全体の半分を超えるかもしれないと言っています。それはかなり大きな負担だと言います。

そういうことを考えると、どこかの事務所に所属してそれらの仕事を支援してもらう方が、自分は「表に出る仕事」に集中できるなど、良い点も多いのではないかという話でした。

 

この話は、業界は全く違いますが、個人事務所で仕事をしている点は同じである私もまったく同感です。その内容は営業活動から一般事務までさまざまで、一部を外部委託したりもしますが、あくまで費用対効果を考えたうえでのこととなります。

私の場合は極力自分でおこなうのを基本にしていることもあり、自分が直接稼働して「稼ぐこと」以外にやらなければならない仕事の比率は、意外に大きなものがあります。

 

これはある会社でのことですが、営業部門の力が非常に強く、管理部門をはじめとした「支える側の仕事」を軽視したり見くだしたりする態度や発言があちこちで横行していました。

営業部門は「稼いでいるのは自分たち」「こちらの都合に合わせるのが当然」と言い、管理部門に対して「稼いでいないくせに効率が悪い」「そんな簡単な仕事」などと見下した発言を、面と向かって平気でします。経営者が営業端の出身ということも影響しているのか、暴言に近いような物言いが野放しにされています。

社内の雰囲気は分断されていて、特に管理部門では、せっかく優秀な人材が入っても定着せずに辞めていってしまいます。

 

その後この会社は経営不振に陥り、しかし分断された社内で営業部門を支援しようという雰囲気は生まれず、自己中心的な発想が染みついた営業部門には、自力でそこから脱する能力はなく、その後経営者の交代を経て、主に管理部門強化の形で社内改革が進められました。

徐々に営業と管理の相互協力ができるようになり、その後どうにか不振から脱することはできましたが、「表に出る仕事」を担う人たちが、「支える仕事の重み」を理解していなかったことが、経営不振の一因になっていたように見えました。

 

ともすれば「自分の手柄」「自分の成果」を主張するばかりで、周りからの支援の存在を認識できない人がいます。また、残念ながらそういう人が評価されがちな実態も存在します。

しかし、「支える仕事」がなければ、表で活躍する仕事は成り立ちません。その重要性を理解していないことによる不都合は、さまざまな形で表面化して良くない作用を及ぼします。

 

「表に出る仕事」を「支える仕事」の重みを、よく認識しておく必要があります。

 

 

 

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