2012年9月9日日曜日

バランスを見失わない努力-過労死と失業の話題より

以前テレビニュースで雇用問題の話をやっていた時、一緒に見ていた中学生の娘が「なんで仕事が無い人がたくさんいるのに、過労死になってしまうの?」と聞いてきました。考えてみれば至極全うな疑問です。

その時は「一度人を雇うと簡単にクビに出来ないから、一時的に仕事が増えたぐらいでは会社は新しく雇えないんだよ」とか、「一人を長時間働かせた方が、その仕事を何人かで分け合うより人件費が安上がりになるんだよ」とか、いろんな説明をしましたが、娘は理屈ではわかってもあまりしっくり捉えられなかったようです。説明している私の方もイマイチしっくりきていないので、当然かもしれません。

仕事に就いている人、またその中でも能力がある人に仕事が集中し、その逆の人は仕事に就くことすらできなくなってしまう、これもよく言われる一種の格差でしょう。やはり、市場原理や自由競争に任せ過ぎると、勝ち組は勝ち続け、負け組は負け続けてどんどん格差が広がってしまいます。今は少し行き過ぎた状況なのだと思います。いずれ揺り戻しがあってバランスが取られる方向になるのでしょうが、どの程度が適切なのかというのは、なかなか難しいところです。

私が今までの経験で思うのは、「勝ち組」の話ばかり聞いていると、バランスを見失う危険が高いということです。
会社の中での「勝ち組」といえば、業績を上げている部門長、営業マンといった人たちでしょうが、ともすればそこから出てくる意見や要望ばかりが取り上げられがちになることがあります。

「結果を出している」という事を後ろ盾に発言権が強くなり、周りもなかなか反論しづらくなりますが、その時点の結果に目を奪われ過ぎると、背景にある様々な無理や不条理に気づくことが出来ず、後になってから「判断を誤った」という事態が起こって来ます。
本当の意味で、バランスが取れた適切な判断をしようとすれば、勝ち組以外の人たちにも話を聞き、結果だけでなくプロセスにも目を向けることが必要だと思います。

「バランス」という言葉はあいまいで、何を持ってよしとするかは難しいですが、その時々で「バランス」を見極めようとする努力だけは、常に続けていく必要があると思います。

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