2013年2月2日土曜日

社内講師による研修の良さと難しさ(2)


社内講師で研修する場合、テーマや進め方によって向き不向きがあります。

例えば、「講師が受講者に向けて講義する」というスタイルの場合、興味を持って話を聞いてもらうには相応の話術やテクニックが必要です。そもそも一方的に講義するだけの内容では、外部講師であっても受講者に興味を持たせ続けるのは難しいことです。よほど話がうまい人、話題豊富な人、適切な進め方ができる人でない限り、社内講師は不向きということになります。

他にもマネジメント手法ビジネスマインドといったテーマでは、失敗が多く見受けられます。受講者が講師役の仕事ぶりも知っているため、「お前に言われなくない」「お前に言う資格はない」なんてケースが出てきます。どうしても聞きかじりや伝聞の話が多くなり、説得力を欠いてしまいます。講師役のレベルがみんなに理解、共有されていれば少し話は違いますが、このあたりを社内講師で行おうとするならば、相応の講師人材をきちんと育成することが必要でしょう。

一方、向いていることで言えば、社内で必要なスキル共有、社内課題の改善や解決、その他社内事情に基づいた取り組みは、社内講師の方が的確な進め方ができます。外部講師では事情の理解に時間がかかったり、ピントがずれたりすることがあります。
前に少し述べたように、社内講師自身の育成を目的とすることもできます。あえて講師をやらせ、本人のスキルアップにつなげるということです。

私が使い分けていたのは、社内に専門家がいる技術や知識の共有、社内テーマへの取り組みは社内講師、社外でも通用する一般的なスキルやノウハウ、原理原則を学ぶには外部講師ということでした。

また「リーダー」的な立場で取り組むなら社内講師「先生」的な立場なら主に外部講師(テーマによっては社内人材もいる)としていました。
やはり即席の社内講師がいくら先生づらをしても、通用するのはせいぜい新入社員くらいまでではないでしょうか。ですから、新人の技術研修などでは、講師に経験を積んでもらう、リーダー的な感性を養ってもらうという考えも少し含んで講師の人選をしていました。

社内研修に熱心な企業では、社内講師の育成にも熱心に取り組んでいるところがあります。外部講師やセミナーから得た内容やノウハウを、社内人材にしっかり植え付けて展開しようとしたり、様々な形でそれぞれの社員が勉強する時間を設けたりしています。

そんな取り組みで、中身も伴ったプロフェッショナルな社内講師が増えていくならば、これはとても素晴らしいことではないかと思います。


0 件のコメント:

コメントを投稿