2014年3月24日月曜日

企業規模の違いによる経営者の「採用」への興味


ときどき経営者の交流会などに参加させて頂きますが、私がいろいろな会社でかかわってきたこともあって、人の採用の話になる時があります。

会社のコアメンバーをどうやって採用していくか、経営者の立場で採用に対してどのように関わっていくべきかなど、実際に直面している真剣なお話ばかりです。こういう話題になるのは中小企業の経営者の方々が多いですが、皆さんに共通しているのは、「自分が決断して雇う」「自分が責任を持たなければならない」という感覚です。

この感覚であれば、当然といえば当然ですが、組織体制や配置、人員計画といった会社の全体的なことだけでなく、社員個々の性格や特性といった細かな部分まで注目し、それなりに把握もしています。
もちろん目が届く程度の人数だからということもあるでしょうが、社員一人一人に対して、やはり「自社の社員」という思い入れがあるのだと思います。どんな人を採るか、どんな活動をするかという「採用」への興味は非常に高いです。

このあたりの意識というのは、企業規模が大きくなるとともに、徐々に変わってきます。具体的にいえば、社員個人にはあまり注目しなくなっていくということです。

以前お会いした1000人超規模のある会社の取締役は、社員の個別事情にはまったく興味がないという様子の方でした。社員一人一人と面識がないのはわかるとして、人の採用に関する話は人数や人員構成の話ばかりで、どんな人材をどのくらい採るというような話と合わせて、降格や辞めさせるといった雇用調整のような話も軽い調子で出てきます。

「採用」への興味はマクロ的なもので、活動そのものについてはあまり気にしていません。社員個人の捉え方は、将棋やチェス、ゲームのキャラクターのように、あくまで駒としてドライに割り切ってしまっているように見えました。厳しい経営を考える中では正論なのでしょうが、私はあまり共感できませんでした。

共感できなかった理由を考えると、やはり「経営者が持つべき社員への責任」があまり感じられなかったからです。また、ご自身がすぐに切り捨てられることがない取締役の立場ですから、自分の身は安全な場所に置いての発言と感じてしまったこともあります。

経営者の「採用」への興味は、企業規模が大きくなるにつれてマクロ的にとらえる人の比率が増えてくると思いますが、裏を返せば、これは社員一人一人のことは関知しない人が増えてくるということでもあります。一方で、相当な大企業の経営者でも、「採用」の細かい部分にも興味を持ち、社員への責任を強く意識されている方が大勢いらっしゃいます。

私が拝見している中では、業績が良い企業ほど、経営者が「採用」への興味を強く持っていることが多いように感じます。細かく口出しするということではなく、社員一人一人のことにも注目し、意識をしているということです。

やはり、社員一人一人の顔に思いをはせることは、バランスとして一定部分が必要だと思います。企業規模を問わず、「採用」は経営者の責任が大きいことには変わりがないと思います。


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