2015年2月27日金曜日

“失敗体験”や“修羅場体験”を持っている不運と幸運


ここ最近、リーダー人材やイノベーション人材の育成の話がテーマになることが良くあり、ここで出てくるのは、“失敗体験”や“修羅場体験”という話です。

ここで“修羅場”と言っているのは、究極の大きな失敗の恐れがあったり、生活基盤が脅かされるような身の危険があったりするような、極限に近く追い詰められた状況で、このような中で、いろいろな事を想定しながら実際に事業を回した経験がないと、本当の意味での事業リーダーにはなかなかなり切れないということが言われていました。

こういう経験は、特に中小零細企業の経営者であれば、かなり多くの人がしているのではないかと思います。会社の危機はそれほどなかったというような人の方が、たぶん希少でしょう。

これが一定規模以上の企業に属している人の場合、この手の修羅場体験は、なかなかする機会がないと思います。
例えば、海外事業所を一から立ち上げろと放り出されたり、ありえない目標を押し付けられたりというような状況は、一種の“修羅場”ではありますが、それでも、自分の生活基盤が明日から失われるかもしれないほどまでに追い込まれることは、たぶんないでしょう。

この“失敗体験”や“修羅場体験”は、いろいろな研修会社などが工夫したプログラムの中で、疑似的に体験させるような取り組みもあるにはありますが、しょせんはフィクションなので、なかなか実践的なところまでには至らないという話を聞きます。

要はこの手の経験は、その人の置かれた立場上で偶然に出くわすものであり、教えるとか研修するとかいうような、意図的にコントロールできるものではないということです。まさに運次第ということです。

“失敗体験”や“修羅場体験”というのは、一般的に見れば不運な体験です。しないで済むならしたくないし、あったとしてもできるだけ短期間にほどほどで終わって欲しいことです。
 ただ、このような経験が事業リーダーとして重要な人材要件で、なおかつそう簡単にはできない経験だとしたら、この“失敗体験”や“修羅場体験”は、幸運な体験ということになります。

将来に活きない経験はないし、もしもそれがなかなかできない貴重な経験であったとすれば、それができたことは自分の大きな財産です。
ある時の不運は、後から幸運になることもあるのだと思った一件でした。


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