2016年8月1日月曜日

企業でも気をつけなければならない「弱い人にだけ強い人」



最近あまりにも嫌な事件が多くて、こんな社会はどうなのかととても気分が滅入ります。
たくさんの障害者が傷つけられた事件は何よりもショックでしたが、他にも通りすがりの高齢女性に暴力をふるって大けがをさせたとか、まだ1歳にもならないような子供への虐待とか、点字ブロック上を歩いていた視覚障害の人がけがをさせられたとか、そんな話が毎日のようにニュースになっています。
そういう事件の被害者の多くは、女性、子供、高齢者、障害者といった、一般的に弱者と言われるような人たちです。

加害者には成年の男性が多く、私と似たような年齢の人もいます。そこそこの分別ができて当たり前だと思いますが、そんな常識だけでは通用しないようです。
こういう加害者たちを見て、私がいつも思うことは、相手が男性であったり、若者であったり、体が大きかったり、力が強そうだったりしたとしたら、果たして同じようなことをしたのだろうかということです。

結局のところ、相手の方が弱い、相手は楯突かない、自分は危害を加えられない、自分は安全、自分は負けないといった確信のもとに、こういう行動をしているのではないかと思うのです。周到に計画している場合も、瞬間的にキレている場合もありますが、どちらも自分よりも強そうな相手にチャレンジしていることはありません。
犯罪行為かそうでないかに関わらず、自分と相対的な関係の中での弱者を、軽く扱ったりないがしろにしたりすることは、最近増えている印象があり、よけいに不快な感じがしています。

ここまでひどい話ではなくても、同じようなことは会社組織の中でも起こっています。そのほとんどは上司と部下との関係の中でのことです。

私が見かけたことがあるのは、上司が自分のミスを隠すために、部下が会社に報告することを口止めしていたり、部下を威圧して自分の指示への反論を抑え込んでいたり、軽微ですが不適切な経費使用を、部下も巻き込んで隠蔽していたりということもありました。

そして、この手の話を聞くたびに共通していたのは、部下に対して威圧的であったり一方的な要求をしていたりするような上司というのは、その上の自分の上司に対しては、一見ではみんな腰が低くて素直で従順だったということでした。
自分よりも権限を持った「強い者」には反抗せずに従順な一方で、自分より下の部下のような「弱い者」には、威圧的な態度を取りがちな傾向が強くありました。

こういう場合の一番の問題は、起こっている問題が周りからは見えづらくなるということです。
自分に対して良い接し方をする人材から不都合なところを見つけ出すのは意外に難しく、その人に押さえつけられている部下からは、きちんと話を聞く場を作って不利益がないことを保証しなければ、なかなか話を聞き出すことはできません。

上下関係に敏感な人ほど、上には媚びて下には権威を乱用する傾向があります。自分に対しては良い人材でも、周りにも同じような態度で接しているとは限りません。
どんなところでも、「弱い人にだけ強い人」には注意しなければいけません。

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