2016年8月19日金曜日

「パソコンが使えない若者」の方が実は進歩的?



最近目にしたウェブ記事で、また「若者のパソコン離れ」について書かれたものがありました。
私が見たものは、パソコンを使えない学生が増えていることを問題視したもので、パソコン使用は社会人の必須スキルとして認識する必要があり、社会に出てから「あいつはパソコンも使えない」と言われないように、当事者だけではなく、親世代も考えていくべきだとされていました。
企業の即戦力になるために、パソコンスキルは身につけておくべきだというニュアンスでした。

私も以前、このあたりのことを取り上げたことがあり、そこでは「若者の方がパソコンスキルを初めとしたITリテラシーが高いというのは勝手な思い込みである」「教えずにできる仕事はなく、できないならば教えてできるようにするしかない」といったことを書きました。
(参照:「パソコンを使えない若者」の話題で思った、教えずにできる仕事はないということ

今も考えていることは基本的には変わりませんが、少しだけ前とは変わってきた部分があります。
それは、「若者がパソコンを使わないのは必要がないから」であり、最も大きいのは「キーボードがいらない」ということであり、そういうキーボード不要の人たちの方が、広い意味でのIT活用としては、実は進歩的なのではないかということです。

最近読んで印象的だった記事があり、それによると、ある日本のロボットメーカーでアジアでのシェアが落ちるということがあり、それは販売チャネルから「製品が時代遅れになっている」という警報があがっていたにもかかわらず、本社がそれに気づくのが遅れて、製品改良が後手に回ってしまったのだそうです。そこで遅れていたのは、操作パネルがキーボードのままだったということなのだそうです。

他社製品は操作パネルがすでにタッチパネル化されていて、スマホ入力に慣れているアジアの工員にとって使いやすくなっていたということで、実は国内でも若手工員は同じ不満を感じていたそうですが、その声は小さく、会社の上層部には伝わらなかったのだそうです。
変化についていけなかったキーボード世代の年長者が、業績悪化の原因だったという話でした。

ITの進化というのは非常にスピードが速く、それによって仕事の進め方はどんどん変わっています。今でこそ仕事をする上ではパソコンがITツールの中心ですが、いつまでもそうとは限りません。

最近の若者には、スマホだけでレポート作成までしてしまうような人がいるという話を聞きます。フリック入力(タッチパネルのキーの周囲に入力候補が現れ、入力したい文字の方向にフリックすれば入力できるもの)に熟達していて長文の入力も苦にせず、しかも早いのだそうです。

音声入力などは私もたまに使いますが、認識具合は以前に比べて格段に進歩しています。もう少しすれば、長文の入力が可能で認識率が高い、しかも安価なものが普及していくでしょう。
そうなってくると、今の形のキーボードは、たぶん不要な場面が増えていくのでしょう。

パソコンを使う必要がない人が増えてきているということは、パソコンというツールが徐々に時代遅れになりつつあるということだと思います。
私はまだまだパソコンがなければ何かと不自由ですが、パソコンを持たずにスマホだけで、私と同じ程度の作業が実現できている人がいるとすれば、その人の方はよほど進歩的だと思います。

今は仕事道具の中心の位置にパソコンがあるので、初めから使えるに越したことはありませんし、使えない人がいるならば使えるように教えなければなりません。ただ、それがいつまで続くのかはわかりません。
少なくとも今の若者たちは、パソコンが使えないのではなく、使う必要がないという状況になってきているのだということ、そして未来の流れはたぶんそちらの方向になっていくのだろうということは、理解しておかなければならないのではないでしょうか。


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