2016年8月29日月曜日

「自信過剰」と「自信過小」はどちらが扱いやすい?



最近、いくつかの会社での雑談の中で、まったく正反対のような相談を受けました。それぞれある上司が、自分の部下をどう指導したらよいのだろうかというような話です。

一つ目は、とても積極的で何でも自分から手を上げる部下ですが、自己評価が甘いのか、どう考えても任せられるレベルにないことを、「任せてほしい」「それならできる」と言ってくるのだそうです。上司から見れば「自信過剰」ということです。

もう一つは、何事にも慎重なのか謙虚なのか、仕事を任せようとすると「自分には荷が重い」「自信がない」など、初めからできないという発言が多い部下です。上司にとっては真面目で信頼できる人材のようですが、「自信過小」ということです。

前者の「自信過剰」の場合、まだ任せられないことを納得させようとすると、どうしても「まだ早い」「能力が足りない」など、ダメ出しと取られても仕方がないことを言うしかありません。当然本人のモチベーションは下がりやすいので、その伝え方には工夫が必要で手間もかかります。
自己判断で暴走することがあり得ますから、行動は常に見ておかなくてはなりません。

これに対して後者の「自信過小」な場合は、能力を肯定する、褒める、勇気づける、サポートの約束など、前向きな話が中心になります。上司は話しやすく、違和感もないでしょう。
勝手に行動する心配がないということでは、いつも見張っている必要もありません。

ただ、「自信過剰」の方には、自ら積極的に行動するという良さがあるので、善し悪しを客観的に説明していけば、過剰な自信を適正にすることはできます。そうなれば暴走する心配はなくなり、積極的に自分で判断していくことが強みとなってきます。

一方「自信過小」の方は、行動力や判断力が足りているとは言えず、「言わなければ動かない」、さらには「言っても動かない」というようなところがあります。行動したくない人を行動させるように仕向けるのは、意外に労力がかかるものです。

ここで、あえてどちらかが好ましいかを何人かのマネージャーに聞いてみたところ、若干「自信過小」の方が多いような感じでした。自分の管理下に置いたときにはその方がコントロールしやすいということがあるのだと思います。
結局はどちらも一長一短で、両方ともに扱いは難しく、同じ様に日々の指導を続けていくしかありません。

「自信過剰」や「自信過小」であるよりは、やはり中庸でバランスが取れていることが好ましいと思いますが、適切なバランス位置の捉え方というのは、人によって違っています。「自信過剰」「自信過小」と言われている人たちも、たぶん自分が偏っているとは思っていないでしょう。

さらに、上司たちとこの話をしている中で気づいたことがあります。それは、上司ご本人も、どちらかと言えば自分と似たタイプの方を扱いやすいと答えているということです。そうなると適切なバランス位置の捉え方は、上司と部下それぞれの性格や志向などの距離感にも左右されるということになります。

こうやって見ていくと「適切なバランス」というのは、何が対象であってもやはり難しいものだと思います。

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