2020年8月13日木曜日

現場を知らないトップ、知っているつもりのトップ

 組織のトップという立場になると、「判断すること」が最も大きな役割になります。その判断が現場の意見と異なることは当然あるでしょう。時には「朝令暮改」などと批判されるような方針変更をせざるを得ないこともありますが、組織全体の最善を考えて、必要なことは実行しなければなりません。

その一環として、やはり「現場を知る」ということは重要です。

 

ただしそれは、その現場の仕事を経験しているとか、常に現場に足を運んでいるとか、そういうことばかりではありません。現場で起こっていることで、トップとして判断するうえで必要な情報を、いかに適切に把握するかということです。

その材料は、部下からの報告、集計されたデータ、業界動向、顧客からの情報、周囲からの助言、その他自分で収集した情報など、様々あります。

 

ある社長は、「現場のことはよくわからない」が口癖で、多くのことを現場判断に任せています。

現場の管理職や社員にとっては、「自分たちの判断を尊重してくれる」と思えるので、それぞれが前向きに仕事をしていて、会社の雰囲気も悪くありません。

この会社では、順調に業績が伸びている時期はこれで良かったのですが、業績が頭打ちになってくると、それぞれの現場任せの判断が、会社の全体最適からかけ離れていきます。みんなそれぞれが一生懸命ですが、どうもやることがちぐはぐです。

社長は相変わらず「現場主導でやってもらうのが一番」と思っているようですが、「現場のことはわからない」ではなく、「現場のことを知る」という努力はもっとするべきです。

 

またこれは別の会社ですが、現場からたたき上げの社長で、「自分は現場を知っている」という自負が強い人です。ですから現場には結構細かいことまで、いろいろと口出しをします。それが現場社員の納得を得ていればそれでもよいのでしょうが、実態はそうではありません。

現場の管理職や社員が言うには、「やり方が古い」「全部が自分基準」だそうです。

「これくらいすぐできるだろう」などと言って、納期直前に仕様変更を言い出したり、勉強や教育と称して無駄な手間をかけさせたり、知識がアップデートされていないので、現状に合わないとんちんかんな指示命令もあるそうです。そのせいで、周りの社員たちはそれほど重要でない業務に時間を取られたり、振り回されたりしています。

これは「現場を知っている」のではなく、「現場を知っているつもり」という状態です。ただ、社長自身がそのことに気づかなければ、これからも同じことが繰り返されるでしょう。

 

この両者の中間あたりに、「現場を知っている」といえるちょうど良いバランスがあるのでしょうが、それを見つけるのは簡単なことではありません。

データを見極め、多くの関係者から話を聞き、意見を求め、そこに自分の実務経験を重ねて、それをずっと繰り返すことで「現場を知っている」という状態が維持できます。

 

現場の仕事には立ち入らない主義の社長も、反対に常に何か現場の仕事に携わり続けて感覚を維持しようとする社長もいて、「現場を知る」ための方法は別に何でも良いと思います。

ただ、全部丸投げという「依存」と、自分が知っているという「過信」には、十分に注意をしなければなりません。

 

 

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