2020年8月20日木曜日

導入しても「使い方はこれから考える」というITシステム

 新型コロナのせいで、給付金など特殊な事務手続きがたくさんありましたが、それらの処理や行政機関のデータ集計、事務処理など、実は日本ではびっくりするほど手作業ばかりのアナログで、想像以上にデジタル化が進んでいないことが明らかになってしまいました。

予算もなくて前例踏襲、さらにリテラシーや問題意識も足りないとなれば、こうなってしまうのも仕方がないところでしょう。日本全体で生産性の低さが問題視されますが、民間企業も含めて実はこのあたりに大きな問題がありそうに思います。

 

デジタル化がこれだけ遅れているということは、考えようによってはとても大きな伸びしろがあるとも言えます。先進的とまではいかなくても、せめて諸外国並みの普通程度のシステム化ができれば、結構な生産性向上ができるかもしれないと思うのは、ちょっと楽観的すぎるでしょうか。

 

最近、相談を頂いた人事課題の中で、たまたまいくつかの会社から「システムの活用方法」というものが重なりました。HRテックの流れに伴う人事関連のシステム導入ですが、トップダウンや親会社ほか関係先の事情による導入ということで、それに起因する問題がいろいろ起こっています。もっとも根本的な話は、「そのシステムを何にどうやって活用するか」というものです。

 

現場主導のシステム導入であれば、もともとの実務に見合った形でおこなわれるので、こういう問題は起こりませんが、人事をはじめとした管理部門では、全社的なIT戦略の一環として、結構こういうことがよく起こります。

「このシステムを使って業務改善や効率化、付加価値向上を目指せ」ということですが、管理部門の人たちでは、具体的にイメージできないことが多々あります。

 

ここ最近でいくつかあったのは、「タレントマネジメント」にかかわるもので、収集できるデータ項目はたくさんあるものの、それをどう管理してどんな情報に加工して活用するかというイメージがありません。一概に決めつけてはいけませんが、私が見ている中に限ると、人事をはじめとした管理部門のメンバーは、この手のリテラシーが全般的に足りない傾向があります。

 

こういう時の支援は、効果的なシステム活用が目的なので、活用対象のテーマと活用方法の検討、それに伴う業務改革、システム会社への要件提示やカスタマイズ指示など多岐に渡りますが、一番困るのは、社内の責任者や担当者が、リテラシー不足を理由に自分で考えるのをやめてしまっている場合です。

 

システムのことはわからなくても、現場の業務についてはよく知っているわけで、さらに現状の課題と解決の方向性さえイメージできていれば、細かいシステムの仕組みや機能はわからなくても、「こうしたい、ああしたい」というイメージさえあれば、システム活用の目的は十分に達成できます。どうもそのあたりを「システムはわからない」と言って、遠巻きにしているケースが結構見られます。

 こんな様子を見ていると、日本でデジタル化が遅れているのは、当事者がリテラシー不足を理由に対応を避けてきたということも一因ではないかと感じます。

そうであれば、ITリテラシー教育が重要になりますし、これからデジタルネイティブ世代がビジネスパーソンの大半を占めるようになってくれば、自然と解決されることなのかもしれません。

 

「IT担当大臣がパソコンを使えない」などという笑えない話がありましたが、少なくともビジネスの中核を担う人が「デジタルは苦手」では、さすがにもう許されない時代になっているのではないでしょうか。

 

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