2020年8月17日月曜日

テレワークの「経費」の話

ある知人ですが、直近の電気代が過去最高金額だそうです。その理由は在宅勤務です。在宅時間が長くなれば、当然それに比例して電気代はかさむでしょうし、猛暑による空調がそれに輪をかけています。そのことに関しては、特に会社から支援はなく、基本的には自分の持ち出しとのことです。

 

他にもテレワークをするための「経費」として、ネットワーク環境の改善やパソコンの買い替え、デスクやワーキングチェアなど作業場所の整備といった話から、小さい子供や家族がいて家では作業に集中できないため、頻繁に利用するカフェ代やレンタルオフィス代、さらにわざわざ別に部屋を借りたというような話も聞きます。

 

テレワークが会社の都合で始まったことだとすれば、本来は会社が仕事上の経費として費用負担をすべきところですが、現状では社員まかせになっている会社がたくさんあります。

その中身は初期投資のたぐいから、通信費ほかのランニングコストまで、様々なものがあります。

 

ずいぶん会社が社員に甘えているように感じて少し調べてみたところ、実はこのあたりの支援をすでに始めている会社がたくさんありました。

多かったのは、テレワークのための環境整備費用の補助や備品の貸与、通勤交通費から付け替える形によるテレワーク実施そのものに対する手当支給などです。

 

ただ、この金額はまちまちで、直感的に「たったそれだけ?」と思ってしまうものもありました。

例えば、毎月の手当は5000円、通勤定期代は廃止して移動交通費はすべて小口精算で処理するというところがありましたが、社員が損をする感じではないものの、5000円で済む定期代は勤務先のかなり近くに住んでいなければあり得ません。

フロアを削減してオフィス賃料を減らす動きもありますが、その点で社員への見返りは今のところは何も言われておらず、これらテレワークによる仕事環境の変化で起こった経費削減の動きでは、その恩恵の大半が会社のものという感じになります。

経費支援の扱いは、大企業ほど手厚いということはあまりなく、本当に会社の考え方によってまちまちでした。

 

この違いがどこにあるのかを見ていて気づいたのは、支援に積極的ではない会社ほど「社員はテレワークのおかげで楽になった」と思っているのではないかということです。「自分たちにメリットが多いのだから、そのための負担は自分たちでしてください」という感じです。

この点に関して言えば、確かにテレワークが急激に広まった当初は、通勤の負担が減った社員を中心に「働きやすくなった」「時間利用が効率的」などと評価する声が圧倒的でしたが、テレワークが日常的になるほどに、その難しさやデメリットも見えてきました。

「仕事とプライベートの切り分けの難しさ」「評価の難しさ」「会議や話し合いの質の低下」、さらに「誰とも話さない時間がとても多くなったことによる孤独感」といったものがあります。「一定頻度で出勤したい」と考える社員も出てきています。

移動不要のリモート会議のせいで、かえってスケジュールが詰め込みになったとか、プライベートへの干渉や過度な監視を要求する「リモハラ」といわれるハラスメントも起こっています。

 

テレワークそのものに前向きでない会社は相変わらずありますが、テレワークをおこなっている会社でも、そのとらえ方には大きな差があります。その中で、多くの社員は環境変化による新たな対応が必要になり、それに順応しようといろいろ苦労しています。

 

テレワークの「経費」の問題は、これから徐々にスタンダードが作られていくと思いますが、できれば会社側では、「より良い仕事環境を社員と一緒に作っていく」という発想で、対等な立場で考えてもらえると良いと思います。

 

 

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