2021年3月18日木曜日

たかが挨拶、されど挨拶

「挨拶が大事」ということを否定する人に、私は今まで出会ったことがありません。これは会社でも同じで、新人研修であれば必ず挨拶に関するカリキュラムがあり、日常行動の中でも挨拶を重視しているところはたくさんあります。ただ、すべての会社でいつも活発に挨拶が交わされているかというと、決してそんなことはありません。

 

私はいろいろな会社に訪問する側の立場なので、その違いを感じることはよくあります。

ある会社にうかがったときのことですが、初訪問で先方の担当者とは面識がなく、誰が来るのかわからないまま受付で待っていると、ちょうど昼休みが始まったタイミングだったため、社員たちがおもてに出て来ました。見た目では20代、30代の若い感じの社員が多い会社です。

 

笑顔で近づいてくる人がいるので、てっきり担当者だと思っていたら、「こんにちは!」「いらっしゃいませ!」と挨拶して去っていきます。出てくる人がみんな私に挨拶をしてはそのまま出かけていきます。多くの会社に訪問している中でも初めての体験で、その挨拶に感心していたところで担当者が現れました。

これがいつものことなのかを聞いてみると、挨拶についてはこの習慣が普通になっているそうです。新入社員にはしつけや訓練をするそうですが、周りの社員みんなが挨拶をするので、うるさく言わなくても自然にそうなっていくそうです。

挨拶が多い会社、丁寧な会社はいくつもあり、その度に感心しますが、顔を合わせる社員全員が活発で元気な挨拶をするこの会社は、今でも特に印象に残っています。

 

その反面「うちの社員は挨拶ができない」と嘆く会社は、こちらもかなり数多くあります。挨拶が少ない会社を見ていると、それ以外の会話などコミュニケーション全体が少ないと感じます。「報告がない」「言った、言わない」「知らない」といったトラブルの話をよく聞くのは挨拶が少ない会社です。

積極的に挨拶をする会社では、この手のトラブルはほとんど聞きませんから、「コミュニケーションの基本は挨拶」というのは、あながち間違いではありません。

 

みんなが大事なことだと認識している挨拶なのに、それができたりできなかったりする理由は何なのか、私もいろいろ考えてみて思い当たることはいくつもありますが、「確実にこれ」というものは、正直言ってわかりません。

「接客頻度の高い会社の方が良い」とか、「社員が若い方が良い」とか「いや逆だ」とか、職種の問題、社風の問題、教育の問題、経営者の価値観の問題、その他いろいろありますが、みんな当てはまったり当てはまらなかったりで、絶対的なものはありません。

 

ただ、一つだけ確実に言えるのは、ちょっと逆説的ですが「挨拶が多い会社の社員はみんな挨拶をする」ということです。つまり一部の社員が率先して積極的に挨拶をして職場の挨拶の総量を増やすと、他のみんなも挨拶をするようになります。これはその気になりさえすれば、どこの会社でもできることです。「上の人ほど挨拶しない」という会社は、残念ながらよく目につくところです。

 

社員同士のコミュニケーションが良好な会社は、概して業績も良いことが多いですが、「コミュニケーションの基本は挨拶」だとすれば、挨拶を活発にすれば業績が上がるということになるのかもしれません。

本当にたかが挨拶、されど挨拶です。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿