2016年1月11日月曜日

起業する人にも感じることが増えた「自覚のない依存」



ある団体の会合でのことです。コンサルタントの団体なので、参加者の中には最近起業したばかりの人や、これから起業を考えているという人が何人かいらっしゃいました。
大企業出身の40代以上でシニア世代の方々が多く、話しぶりなどからはみなさん優秀な方々だろうとお見受けしました。

起業のスタンスはそれぞれで、定年後の小遣い稼ぎ程度に考えている人から、本当に生活が懸かっている人まで様々でしたが、コンサルタントとしてそれなりに仕事が成り立っている感じの人は、残念ながら誰もいませんでした。
 
少しお話を伺ってみると、あるお一人の方は、本当にどうやったら仕事が受注できるのか、まったく見当がつかないのだそうです。営業なんて前職では一度もやったことがないし、そもそも営業のきっかけをどうやって作るのかすら、想像ができないのだそうです。

いろいろ聞かれたので、できる範囲のアドバイスはしましたが、ずいぶんと初歩的な質問も多く、ちょっと自分で調べればわかりそうなことがたくさんありました。そんな状態で起業してしまっているのは少々問題ありという感じがします。

 さらにもうお一人は、自分の知人で士業を営んでいるような人に、仕事の紹介を頼んでいるのだそうです。他に成功報酬型の営業代行会社などとも契約しているそうですが、どちらからもまったく音沙汰がないそうです。「なぜ紹介がないのか!」などと、ちょっとキレ気味に言っていました。

私からすれば、その手の紹介なんてなくて当たり前だと思うので、そんな話をしながら聞いていると、この方は会社の経理は税理士さんにお任せ、ホームページは制作会社に作らせて管理させ、簡単な印刷物などもすべて外注しているそうです。

「よけいな仕事はできる人に任せればよい」という考え方もわからなくはないですが、それは自分自身が忙しい人が言うことです。自分一人だけの会社で、仕事がなくて時間を持て余しているような人が言うことではないと思いますが、やはりここでも「自分ではやったことがないから・・・」などとおっしゃいます。

私はこういう話を「自覚のない依存」と言っています。自分ですべてのことを取り仕切っているつもりでいても、実際には他人のせいにしたり、他者に依存していたりする事実に、気づいてすらいないということです。
組織に属していれば多かれ少なかれ誰でもあることですし、なおかつ大組織であるほどその傾向が強まりますが、最近は起業したばかりのような人からも同じようなことを感じる場面が増えました。

私も独立してもうすぐ10年目に入りますが、やはり「自覚のない依存」は常にどこかにあると思います。ただ、その比率はずいぶん減ってきたとも思っています。自分が動いていなければ誰も助けてはくれないし、紹介して欲しいならば自分からも紹介するべきだし、相手に与えて初めて自分にも与えられるし、そういうことをいろいろ経験しながら、少しずつ依存している度合いを自覚することができるようになってきたと思います。

何か資格を取ったり、起業セミナーなどを受けたり、自分の将来を自分なりに考えようとする人は増えましたが、資格は“権威への依存”と言えなくもないですし、起業セミナーなどは“他者経験への依存”であり、それがすべての正解ではありません。

起業するかどうかといったことに限らず、自分のキャリアを考えていくに当たって、「自覚のない依存」を少しでも自覚できるようにすることは、意外に重要なポイントではないかと思います。


0 件のコメント:

コメントを投稿