2016年1月20日水曜日

SMAP解散騒動で思う、「ボタンのかけ違いはいつも感情から始まる」ということ



SMAP解散に関する話題で大変ですが、ご本人たちから「前を向いて進む」という話もあり、とりあえずは収束に向かっていくような感じのようです。
最終的にどうなるのか、現時点ではわかりませんが、あらためて関係者同士がうまくやっていけるようになればと思います。

ただ、そう簡単にはいかないのが実際のところかもしれません。芸能界に限らず、私たちのようなビジネスの世界でも、“独立”“移籍”“引き抜き”“転職”にまつわるトラブルはたくさんあります。
既存の組織から独立しようという人であれば、裸一貫で何も持たずに飛び出そうなどと言う人は極めて稀であり、今持っている人脈などをたどりながら、独立後の仕事のことを考えて動くのは当然でしょう。
ここで行き過ぎた動きが出てくると、だいたい何らかのトラブルになりますが、私の経験で思うのは、始まりはちょっとしたボタンのかけ違いによる“感情的な”わだかまりであるということです。

これは私が知る一例ですが、ある会社の部長クラスの人が、同じ業界で独立して会社を興すことを考え、自分が関わっている顧客先や協力会社、取引業者に内々でそんな話をしていたそうです。
話した相手からは「継続して取引しましょう」「これからもお願いします」「応援します」など、前向きな言葉をたくさんかけられたようですが、いざ自社の上司である取締役にこの話を持ち出した時、非常に厳しい顔で「協力はできないし、独立は許さない」と言われてしまいました。

ご本人としては、今まで会社には十分貢献してきたし、社長をはじめとした経営陣との関係も良好と思っていたので、そんな言い方をされるとは思ってもいませんでした。
自分が貢献してきたこと、これからも会社とは良い関係を続けたいことなどを話し、「なぜ・・?」と尋ねたときに言われたのは、たった一言、「お前は順序を間違っている」「礼を失している」ということでした。

もうおわかりかもしれませんが、本人がこの話をする前から、会社には関係者を通じてすでに独立のうわさが耳に入っていました。会社の感情としては、そんな話は最も影響を被る会社に対して一番初めにするべきであり、そういう関係をないがしろにする人間は、信用できないし、付き合いたくもないと思ってしまったのでしょう。

こうなってくると、それまで好意的だった顧客先や協力会社なども、独立しようという部長とは急に距離を取るようになっていきました。
そんな争いに巻き込まれて得することはないですし、そもそも付き合いがあるのは元の会社を通じてなので、独立する側に味方するような形になって、今の取引先を失うようなことになっては元も子もありません。そんな動きになるのは当然でしょう。

結局この部長は独立を断念して会社に残りましたが、信頼を失ったツケは大きく、それまでの社内での役職を失い、それまでのつながりから離れた経験がない別事業を細々と担当しています。会社にとっては、顧客を奪って出ていこうとした危険人物のイメージなのでしょう。

もしもこの独立の話を、会社の上司などに一番初めにしていたとしたら、事前に時間をかけて話し合い、対外的な動きはその後にしていたら、もしかすると結果は違っていたように思います。その分かれ目は結局ちょっとした“感情の行き違い”からだったと思います。

話は戻ってSMAPの件でも、私は報道を通じてのことしか知りませんが、「○○が怒っている」「××の話で不信感を持った」「話を通さないで動いていた」「筋を通す」「許せない」など、出てくる言葉はほとんどが感情に関わることばかりです。

やはり人間がやることは、ロジックだけで解決できるものではありません。他人の感情に敏感であることは、難しいことですが大事なことだとあらためて思っています。


0 件のコメント:

コメントを投稿