2020年11月19日木曜日

個人の価値観や相性も関わる「適材適所」

今でもときどき、企業の採用面接に立ち会うことがあります。ただ、新卒を始めとした若手人材採用のとき、私は最近はできるだけ意見をしないようにしています。理由は自分の判断基準がずれているかもしれないと思うことが増えてきたからです。もちろん採用基準に照らして冷静に判断しているつもりですが、年々甘くなってきているように感じています。

 

年齢差が大きくなるにつれて父親感覚といえばよいのか、「若いうちならこの程度で上出来」「年の割に頑張っている」などと思ってしまいます。「自分の若い頃より全然マシ」などと、昔の自分と比べていることもあります。多くの応募者を「みんなそれなりにいいじゃないか」と思ってしまうのです。私と同世代の人と話すと、同じようなことをいう人がたくさんいます。

 

ただ、若い世代の面接官は違います。「こういうところがダメ」「この考えは甘い」など、指摘は私よりも全然シビアです。そして、採用した人たちの入社後の様子を見ていると、若い人たちの指摘の方が正しいことが圧倒的に多いです。

私たちも昔はもっと許せないことがたくさんあってダメ出しも多かったですが、「年とともに丸くなった」ということなのか、徐々に価値観が変わってきています。この価値観を「変えろ」「戻せ」と言われても、さすがにちょっと難しそうです。

私以外の若い誰かに代わって役割を担ってもらった方が、結果が良くなることは間違いありません。

 

これはある会社のマネージャーと話していた時ですが、その人の部下はずいぶん仕事の出来が悪いそうです。あんなこと、こんなことといろいろな話が出てきます。

「良いところはないのか」と聞くと、けなし続けてはさすがに良くないと思ったのか、一つか二つのちょっとした長所が出てきますが、すぐに話が戻ってその倍くらいの短所の話が出てきます。

私はこの部下のことを直接知らないので、事実がどうなのかはわかりません。このマネージャーの言うことが正しいのかもしれないし、少し厳しすぎるのかもしれません。

 

それでもわかることは、この部下は毎日マネージャーから怒られてばかりいて、楽しくないに違いなく、マネージャー自身もイライラしているに違いありません。私としては、マネージャーがもっと部下の長所を見ながら、本人に考えさせるように、褒められるところは褒めて指導してくれればよいと思いますが、それを意識していても今のようになっているのかそうでないのか、こちらも詳しくはわかりません。

この構図が変わるには、どちらかがものすごく大きく変わるか、お互いが歩み寄るかのどちらかしかありませんが、この一種の相性のようなものを変えようとしても難しいことがほとんどでしょう。

 

こういうとき、先ほどの面接官の話と同じように、役割を違う人に代える、代わるということが、結構重要で有効な手段になります。別のマネージャー、別の部下に入れ替えて、相性をリセットするのです。

「適材適所」という考え方の中には、このようなお互いにどうしようもない相性も含まれています。

 

自分が変化しようと努力することは大事ですが、それができないときは、そのことができる別の誰かに役割を代わってもらうことも必要ではないかと思います。それも「適材適所」にかかわります。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿