2022年6月13日月曜日

誰にでもフラットに接するリーダー

最近いろいろなメディアを見ていて、些細なことですが目に留まったものが二つありました。

一つは「謙虚さは大事だが頭が良い人にしか通用しない」という言葉です。能力がない人ほど相手の謙虚な振る舞いに気づかずなめた態度を取ってくるそうです。私自身がそこまで謙虚にふるまっているかはわかりませんが、そういう経験は確かにあります。そういう人との付き合いが続いたことはありません。

一方、この言葉に続けて「頭が良い人は謙虚な人のことをちゃんと見ているから大丈夫」とも言っています。実力がある人ほどマウントを取ろうとしないということは、今までの経験で何となくそう思います。自分自身はそういう意識でありたいと思います。

 

もう一つは、サッカー日本代表の元監督で、最近逝去されたイビチャ・オシム氏の話です。

監督の仕事として、選手が30人いれば30番目までの序列をつけることはやらなければならないことですが、オシムさんはすべての選手に対する接し方がフラットで、すべての選手を同じように褒め、同じように怒り、同じように視線を向けていたといいます。指導を受けていた選手たちは口をそろえて、いつも公平に見られていることで、すべての選手が意気に感じて前向きに成長していくことができたと言っています。

また、常に選手自身に考えることを要求していたといいます。自分が思っていた常識とは正反対の指摘をされることがあったり、プレーに対して多くの選択肢を示してくれるがその答えは絶対に言わないそうです。すべての選手に問いかけて本人に考えさせることは、やはりそれぞれの成長につながったという実感があるそうです。

一見厳格で近寄りがたい雰囲気があるが、内面では愛情にあふれていることが伝わってくるとのことでした。

 

この「すべての人にフラットに接する」ということは、私自身が一番共感して目指したいことであり、でもなかなかやり切れない憧れのことでもあります。

私のこれまでの出会いの中で、自分がお手本にしたいと思うリーダーが何人かいます。

その人たちは、全員が誰に対しても分け隔てなく謙虚に接し、決して威張ったり媚びたりせず、自慢話などをせずに相手の話をよく聞き、肩書や立場に関係なくフラットな関係を作ってくれる人たちです。

全員が経営者でしたが、すべての会社がコンスタントに業績をあげ、社員たちもいきいきと働いていました。経営者というのは、ともすれば自己主張や自慢を含んだ自分の話をするのが好きな人が多いですが、それとは一線を画すような人たちでした。

 

最近、リーダーに対して「強さ」を求めがちな傾向があると感じています。引っ張る力、まとめる力、率先垂範などですが、「強いリーダー」が成り立つためには「従うメンバー」が必要であり、メンバー自身が考えるというよりはリーダーの考えに従うことが求められ、フラットではなく上下関係、主従関係となります。

自分の考えが受け入れられないとわかれば、その人は考えることをやめて成長を止めてしまうか、自分の考えが通せる立場になろうとして、会社を辞めるなど主従関係を解消しようとします。リーダーがメンバーのフラットな関係が作れれば、成長が止まることも関係が解消されてしまうことも避けられます。

 

オシムさんの場合、監督であるご自身と選手との間は、何でも言い合えるようなフラットな関係ではありません。指導者である監督と指導を受ける選手というヒエラルキーは存在しています。

ただ、リーダーである監督自身が、メンバーである選手たちを公平でフラットに扱うことで、組織の一体感と個人の成長につなげていました。「強いリーダー」でありながら、「従うメンバー」を求めていないことに違いを感じます。

 

「誰にでもフラットに接する」というリーダーの振る舞いは、組織とメンバーが成長する上でのポイントになる感じがします。

 

 

 

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