2014年9月15日月曜日

スウェーデン有権者の増税支持に思う「目標の合致」と「目標の相反」


北欧のスウェーデンでは、直近の総選挙に向けて最大野党が増税を訴えて支持を拡大し、減税を続けていた与党も増税を主張するという珍しい選挙戦なのだそうです。

過去の経済危機から、有権者の間で財政規律を重視する意識が強く、「福祉や教育にお金を使い続けるには、高い税金が伴うこと」を有権者が認識しているとのことで、現政権が「福祉が充実しすぎると働かない人が増える」として進めてきた中福祉・中負担路線への不満もあるのだそうです。高福祉・高負担に回帰する兆しと言われているようです。

スウェーデンの有権者が、なぜ増税を支持できるのかを考えてみると、負担した税にふさわしいだけの福祉や教育、その他行政サービスが自分に返ってくることとそのメリットを、身をもって知っているからだと思います。税負担という痛みに見合うだけ、もしくはそれに余りある安心や快適さが得られればこその増税支持、容認なのだと思います。
政治と有権者双方の、「目標が合致している」と言えるのかもしれません。

このあたりは日本の増税論議とは大違いです。
日本の場合も財政問題は大きいですが、増税に関しては、残念ながらスウェーデンのような支持はありません。負担増に見合ったものが返ってくるとは思えませんし、そもそも税金の使われ方が不透明で、それが適切なのかはよくわかりません。政治への信頼感という問題も大きいでしょう。
増税が有権者にとっては痛みしか見えないため、政治と有権者の間で「目標が相反している」のだと思います。

この「目標の相反」ということは、会社と社員の関係においても起こりがちなことです。

会社の中で何が増税に該当するかを考えてみると、社員が会社に直接お金を渡すことは基本的にはありませんから、昇給停止や賞与削減、時間当たりの生産性向上、経費節減努力、サービス残業などがそれに相当しそうな感じです。
社員への見返りということでは、業績向上や収支改善による雇用の安定や給与アップ、福利厚生の充実などがこれにあたるのでしょうが、社員の努力や協力が、必ずしもこの形で見返りとして反映されるとは限りません。

会社や一部経営陣にとってはメリットになるが、社員にとっては痛みしかないということは、特に最近のブラック企業問題などをはじめとして、いろいろな場面で見かけることが多くなった感じがします。ただ、このような会社と社員の「目標の相反」は、長い目で見るとどちらのメリットにもなりません。

私は、このスウェーデンの有権者の増税支持を企業に置き換えて考えて見た時、結局は会社と社員の双方のメリットになるような「目標の合致」が重要ということなのだと思います。それは社員に対してどのようなメリットを提示できるかが大きな要素であり、それが理解されればお互いの目標が合致され、改革改善が進めやすくなるということです。
スウェーデンに見習わなくてはならないところが、少しはあるように感じます。


0 件のコメント:

コメントを投稿