2015年11月4日水曜日

相次ぐ企業の不正を見ていて思う、規制で人の動きを縛ることの限界



旭化成の関連会社による杭打ち工事のデータ不正の問題は、疑いがあるとみられる物件数がどんどん増え、問題が拡大する一方になっています。

工期を延ばせないということが、そもそも不正が行われる大きな要因のようなので、これからは他の会社まで含めた業界全体にまで波及してしまいそうな気がします。

また、少し前に発覚したドイツのフォルクスワーゲン社の排ガス不正も、業界内の競争などが発端でしょうし、こちらもポルシェやアウディといった傘下の企業でも、新たに指摘を受ける車種が出てきたようで、問題がさらに拡大してしまうかもしれません。

その他、東芝の不正経理、東洋ゴムのデータ改ざんなど、大手の有名企業による不正や不祥事が相次いでいる感がありますが、これから様々な形で原因究明がされ、それを踏まえて関係者の処罰や、その後の規制強化がされていくことになるのだろうと思います。

会社で仕事を進めていく上での不正というのは、これほど大きな話ではなくても、日々の些細なことの中で、例えば社員が指示通りにことを進めていなかった、ウソの報告をしていたなどということは、それほど珍しいことではないでしょう。現金商売をしているような会社では、お金のやり取りの上での不正の話をよく耳にします。

最近ある会社でも、ちょっとした社内手続きに関して、決められた処理の手抜きが横行していることがわかり、これを防ぐための対策を考えています。ただ、性悪説に立って考えれば考えるほど、それこそ抜け道は際限なくあります。
これらをすべて埋めようとして、精緻な決まりや仕組みを作ろうとすると、書類や承認手続きが増え、その運用には今まで以上の労力が必要となりますし、システム化となれば相応の導入コストも運用コストもかかります。特に中小企業ではすぐにできることではありません。

また、そこまでやったとしても、不正を完全に防ぐことは結局は難しいものです。上席の者がその気になってしまえば、特に防ぎようがなく、最後は人の良心に委ねるしかありません。

ただ、人の良心とは言っても、会社としてできることが何も無い訳ではありません。
まず一つは、人を見ながら適切に配置するということで、例えば金遣いが荒い人や借金がある人に予算権限を与えないというようなことがあります。
さらにもう一つは、やはりしっかり社員を教育するということで、不正によって自分の身に降りかかってくることの重大さを知っていれば、それは確実に歯止めとなります。

今回相次いでいる企業の不祥事は、これから行政なども絡んで、様々な規制作りや仕組みづくりがされていくのだろうと思います。
ただ、それだけでは人の動きを縛ることが難しいということを、この一連の事件であらためて感じているところです。


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