2017年10月2日月曜日

「予定を変えること」が良くないときと必要なとき



ごくたまにお会いするある会社の役員に、アポイント変更のとても多い人がいます。
誰にでも予定の変更はあるでしょうし、企業の役員ともなれば重要なこと、緊急のことによる変更はあると思うので仕方がないことではありますが、この人に限ってはその回数が頻繁にあります。前日や当日の変更もめずらしくはありません。

他の共通の知人の何人か聞いてもみんな同じ扱いだそうで、その知人たちが言うには、直接の顧客先や会社の重役クラスの人からのアポイントを常に優先していて、それらの人たちからの依頼や要望は何でも聞こうとするので、それ以外の予定は平気で後回しにするのだそうです。

この話が本当かどうかはわかりませんが、少なくとも予定の変更を求められるということは、私よりも優先する何かがあるということで、それほど価値が認められないこちら側の責任もありますが、それが度重なってくるといかにも自分が後回しにされている感じがして、あまり気分は良くありません。その方とのお付き合いは継続しているものの、徐々に足が遠のいてしまっているのは否めません。

ただ、このようにすぐに予定を「変える」という人は、少なくとも私の周りにはめったにおらず、社外とのアポイントは対外的な「約束」だとして、よほどのことがない限りはそれを守る人、予定を「変えない」という人が大半です。社外の人を巻き込んだ予定を頻繁に変えるのは、やはりあまり好ましいことではないでしょう。

しかしその一方、予定変更が好ましくないなどとは言っても、一緒に仕事をするチームの中で、業務上の予定を絶対に変えないというような話になると、これはちょっと困ったことになります。仕事の流れの中では様々な状況変化があり、トラブルも緊急事態もありますから、それに合わせて仕事の優先順位は変わります。しかし、こういう変化への対応であっても、「予定を変える」ということを極端に嫌がる人がいます。

追加の業務指示はほとんどの場合で「無理だ」という人、予定が変わることへの不満を延々と述べる人、決めたスケジュールにこだわって変えないようとしない人などがいますが、ここまで極端ではなくても、臨機応変に振る舞うことが苦手で、予定を「変えられない」という人は意外にたくさんいます。

ここで思ったのは、「変えられる」「変えられない」という捉え方の問題と、「変える」「変えない」という行動の問題の組み合わせという話です。
例えば、前述のアポイント変更が多い人では、社外の人との予定でも「変えられる」と思っているから、何かちょっとしたことがあれば「変える」という行動をしますが、多くの人は社外とのアポイントは「変えられない」と思っていて、だからよほどのことがなければ「変える」という行動はしません。
「変えられる」と捉えるから「変える」という行動、「変えられない」と捉えるから「変えない」という行動になるという単純な組み合わせです。

一方でこれが社内の業務上の予定となると、もう少し組み合わせが複雑になります。
上司は「変えられる」と思っていても、部下は「変えられない」と思っているので行動を「変えない」とか、「変えられる」とは思っても、“変えるのが面倒”というような心理があり、だから「変える」という行動を取らないとか、本来は絶対に「変えられない」のだけれども、強引な指示で「変える」ことをしなければならないとか、いろいろな状況が考えられます。
ここでは、まずすべての組み合わせがあり得ることと、もう一つは「変えられる」「変えられない」という捉え方の部分が人によって異なり、それがチーム内の「変える」「変えない」という行動にバラつきを生むということです。

社外のアポイントとは違って、社内チームの業務上の予定であれば、やはり仕事の優先順位を常に考えて、それを柔軟に入れ替えていく必要があります。時間管理の話で、よく「“緊急だが重要ではないこと”が優先されてしまう傾向がある」と言われますが、「変えられる」「変えられない」という捉え方の違いもこれと同じようなことだと思います。

決められていた「予定を変える」ということは、それが良くない時も必要な時もあります。日々の仕事を進める中であれば、決めた予定を「変えない」ことにこだわり過ぎるのは、こちらもあまり好ましくないだろうと思います。


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