2014年2月24日月曜日

仕組みを制約と考える人と仕組みを使いこなす人


私が策定をお手伝いすることが多い人事制度は、組織の仕組みの一つという位置づけです。組織における制度化や仕組みづくりというのは、それによって作業や手順を定型化することで、プロセスを効率化したり、質を均一に保つことを目的として行います。

しかし、その会社の状況によっては、組織上の制度や仕組みを、自分たちの仕事上の制約や縛りという捉え方をされることがあります。

制度や仕組みが確立していない中小企業の方がそういう捉え方をしがちですが、結局は自分たちが自己判断で行ってきたやり方から、制度や仕組みで決めたやり方に変えなければならないことを、非効率、無駄、非合理的といった言い方で拒もうとします。

組織の制度や仕組みを、自分の仕事上の「制約」と捉え、それは面倒でやりたくないことという態度になります。その人にとって、制度で決められたことというのは、単なる作業でしかないということです。

その一方で、決められた仕組みをうまく使いこなそうという人がいます。
人事制度であれば、本来の目的の一つとして、現場のマネジメントを支援するという役割があります。例えば人事制度の中に、評価面談という仕組みを設けていることが多いですが、これは現場の上司部下のコミュニケーションの場作り、共通の話題作りという側面を持っています。

仕組みがなければ、たくさん話すところとそうでないところに分かれてしまいますし、話しても当たり障りがない雑談ばかりで、評価やキャリアプランといった肝心の話題で話すことはないかもしれません。しかし、仕組みに則って実施すれば、上司自身が場作りや共通の話題作りをしなくてもよくなり、うまく使えばマネジメント効率は上がるはずです。これを理解している人は、制度や仕組みを積極的に使おうとします。

また、こういう人たちは、可能な範囲で制度運用をアレンジしながらうまく使い、制度自体をより使いやすい形に変えようと、積極的に働きかけてきます。おかげで制度と運用が良いサイクルで回るようになります。

制度や仕組みというのは、制約や縛りという側面を確かに持っています。実際に「制度運用のための制度」のようなものが作られ、決めごとが多すぎて逆に非効率を生んでいるようなこともあります。
それでは本末転倒ですが、組織の効率化のためには適切な制度や仕組みと、臨機応変な運用のバランスが必要です。

制度や仕組みと聞くと、どうしても面倒な手続きや裁量の制約と考えがちですが、逆に制度や仕組みがなかったとすれば、効率的な組織運営は難しくなります。

仕組みを単なる制約と考えず、うまく利用して使いこなしていく姿勢が必要だと思います。


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