2014年3月26日水曜日

「○○満足」では動機づけにはつながらない


最近は「顧客満足(CS)」「従業員満足(ES)」など、“満足(Satisfaction)”と言う言葉がキーワードになることが増えました。満足感が伴わないと、その後の購買行動や業務へのやる気など、動機づけにつながらないということが一番の理由でしょう。

ただ、先日あるコンサルタントの方からうかがったお話で興味深かったのは、「満足感では動機づけにつながらない」というものでした。

今はほとんどの人たちが、生活レベルや経済力にかかわらず、「幸せか?」と聞かれれば「そうだ」と答えるように、多くの人がそれなりの満足感の中で生活していて、どうしても欲しいものがある訳でもなく、どうしても実現したい仕事上の何かがある訳でもないというようなことが多いのだそうです。

人間には、現状に満足していてもさらに上を目指そうとする「成長動機」があると言われていますが、この「成長動機」というのは、特に最近はそれほど強く存在しないのではないかと言われているのだそうです。

そうなると、すでに満足しているところにそれ以上満足を注入する余地は少ないですし、成長動機が少ないことと相まって、「ただ満足感を与えても、それが行動の動機づけにはつながりづらくなっている」ということでした。

このお話にはさらに続きがあって、こういう時代に人の行動を動機づけするためには、“満足”のさらに先の“幸福(Happiness)”を提供していかなければならないということでした。「顧客幸福(CH)」「従業員幸福(EH)」なのだそうです。

「満足感」というのは、与えられた物に対する感情なので、必ずしも成果と相関しないのに対して、「幸福感」は自分で創り上げた物に対する感情なので、成果と相関しやすい傾向があるということでした。

こんなお話に、私自身はなるほどと思って共感した訳で、 “満足”“幸福”の違いがそこまでわかっている訳ではありませんが、自分のイメージとしては、「満足感」にはどこかにゴールがあるが、「幸福感」にはそれがないという感覚でとらえています。際限がなければ、その分動機づけにはつながりやすいような気がします。

また、自分で創り上げた物に対する感情が「幸福感」であるならば、行き過ぎた指示命令、強制、アメとムチの外的報酬ではなく、自律的な判断、組織への帰属や貢献、それに伴う内的な報酬が大事ということになります。まさに私自身の取り組みテーマになっている部分です。

 企業人事という世界でいえば、さらに社員個々人の内面に目を向けていかなければならない時代なんだと感じています。


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