2015年8月3日月曜日

楽天球団オーナーの話で考えた、「適切な現場介入」を線引きする難しさ


プロ野球、楽天イーグルスの田代打撃コーチが退団するとのことですが、一部スポーツ紙によると、退団理由がオーナーである三木谷浩史氏の度重なる現場介入にあるとの話があります。
あくまで一部メディアの報道なので、真実かどうかはわかりませんが、選手起用やオーダーにまで口出しをしていたということです。

この手の話、海外のプロサッカークラブなどでは良く聞く話ですが、日本で表立って耳にすることはあまりありませんでしたので、真偽のほどはともかく、こういう話が出てくること自体が少し驚きです。
もしこれが本当に行われていたことだとすれば、日本の経営者、ひいては日本人全体の意識が変わりつつある端緒のような気がします。

たぶん今までの日本の場合、「現場を尊重すること」「他人の専門領域を侵さないこと」「権力者が細かい口出しをしないこと」などが、人間としての美徳という面も含めて意識されてきたため、こういったことが露骨に行われることは少なかったのだろうと思います。

これについてはメリット、デメリットの両面があります。
余計な現場介入をしないことで、「優秀な現場が育つ」「現場の責任感を強める」「専門家のプライドが保てる」などという良さがある反面、単なる現場任せばかりでは、「何かが起こった時の責任の所在があいまい」「全体最適の動きができない」「判断や決断が遅くなる」といった問題も起こります。

要は「“適切な現場介入”が望ましい」となる訳ですが、何が適切で、何がそうでないかという線引きは、実はとても難しいことだと思います。

現場との向き合い方として、これはあくまで私が心掛けていることですが、「情報収集は組織の枠を越えて幅広く、指示命令はあくまでもライン組織で行う」「一方的な指示命令は緊急時に限り、その他の場合の具体的な方法は、できる限り現場に考えさせる」ということがあります。

ここからすれば、球団オーナーの現場介入は、専門外のことをそこまで情報収集できないでしょうし、現場が考えたことを一存でひっくり返しているので、あまり好ましくはないでしょう。
ただ、現場の責任者である監督を通しての指示命令でしょうし、チーム状態が良くないとすれば、緊急性はあったのかもしれません。
こんなふうに、明確な線引きはやはり難しいです。

とはいうものの、トップが現場介入するような動き、特に細かな戦術に当たる部分にまで口出しをするような行動は、私はできる限り抑制的であるべきだと思います。そういう組織が徐々に衰退していってしまうのを、いろいろなところで何度も見てきているからです。

今回の件、何がどこまで行われたのかは、真偽のほども含めてまだまだよくわかりませんが、とにかく球団の将来にとって、できるだけ悪影響にならなければ良いと思っています。球団の組織としてのこれからが少し心配です。


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