2015年8月5日水曜日

デキる人は、仕事をどんどん捨てている?


ある企業で管理者の面談に立ち会っていた時のことです。
業績、状況把握、部下との関係性など、様々な部分で問題を抱えている部門のマネージャーでしたが、ご本人の状況を根掘り葉掘り聞いていく中で、最終的に出てきたのは「何をどういう順番で取り組めばよいのかがわからない」という話です。

中小企業であればなおさら、現場の実務も担う“プレイングマネージャー”が多くなっていますが、この方がおっしゃることを要約すると、「中長期のことと短期のこと、顧客のことと社員のこと、現場作業とマネジメント、企画業務とルーチン作業など、質が正反対の仕事がランダムに次々と降ってくるので、何をどうしたら良いのかがわからなくなってしまい、とにかく気づいた事をこなすばかりで、肝心なことを後回しにしたり忘れたりしてしまい、いろんなことが立ち行かなくなっている」という話です。

このあたり、個人の能力や資質という面は確かに大きいですが、実はマネージャークラスからのこの手の話は、いろいろな会社で聞くことがあります。重要なポジションにいる人やできると見込まれた人には、仕事が集中するということがあるからだと思います。

これはどこかの記事で読んだことですが、ある企業の部長秘書をしている方が、様々な関係先から来る問い合わせや、資料の確認依頼、会議の出席依頼、その他判断を求めてきている事項といったものについて、ボスが処理をしやすいようにと、付箋にしてパソコンのディスプレイに貼っておくようにしていたそうです。

そんなある時、ボスである部長の様子を見ていると、その付箋を順番に剥がしながらひとしきり眺めた後、8~9割がたをそのままゴミ箱に捨てていたそうです。

秘書はちょっとびっくりして部長に聞いたところ、こんなことを言われたそうです。
「この会議は私が出ても出なくても結論には影響がないし、この資料は大筋正しいことがわかっているので見る必要がない」
「現場はとりあえず判断を仰いでおこうとか、とりあえず意見を聞いておこうとして、依頼や確認をしてくることがよくあるが、そういうものは私が放置しても現場が適切に仕事を進めていく」
「本当に必要なこと以外の、“自分がやらなくても良いこと”にはできるだけ口出ししない

たぶんこれが、「仕事の優先順位づけ」としては、究極の姿勢なのだと思います
 
有名な「7つの習慣」の中に、仕事の緊急性と重要性に関する話があります。普段の活動は「いかに緊急か」という基準で行動しがちだが、本当に重要な活動は、「緊急ではないが重要なこと」にあるというものです。
しかし、多くの会社で研修などを行う中でも、未だに「緊急のものが優先」と考えている人が大勢います。「緊急だが重要でないこと」の中には、やる必要がないことが多数含まれている可能性に気づいていません。

「優先順位づけ」が得意な人は、「自分でなくても良い仕事」「重要ではない仕事」を、適切に見極めて、それをどんどん捨てています。見習う必要がありそうです。


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