2015年10月16日金曜日

あえて考えてみた「正社員のデメリット」



住友生命保険が、オフィスパートナーと呼ばれる契約社員約2000人のうち6~7時間勤務するフルタイム契約社員600人を正社員にするという記事が掲載されていました。日本生命保険、第一生命保険、明治安田生命保険の大手3社は、すでに契約社員の無期雇用化を表明していますが、既存の正社員と同じ待遇にするのは住友生命が初めてとのことだそうで、その狙いは優秀な人材をつなぎ留めることだそうです。

人手不足の状況が恒常化しつつあり、パートやアルバイトについては時給の高騰が起こっていますし、様々な業種、職種で、契約社員や非正規社員を正社員化する動きが起こっています。先ごろの派遣法の改正も、正社員化の促進を視野に入れたものです。

それぞれの動きは、正社員での安定した雇用が望ましいと考えられた上でのことで、それを好ましいと捉える人たちが大勢いるのだと思います。たまたま就職氷河期などに当たり、思うような仕事に就く機会を得られなかったために、低い労働条件での非正規雇用に押し込められ、挽回のチャンスが得られなかった人たちにとっては、希望が持てるという意味で決して悪い話ではないと思います。

一方、私のような自営業者から見ると、正社員であるということには、デメリットという部分があることを、いろいろな面で感じることがあります。あえて「正社員のデメリット」を考えてみました。

まず、今の私が仮に正社員として就職したとすると、兼業が許される会社はほとんどないでしょうから、今の事業からは離れることになります。
しかし正社員となれば、働けるのは定年までで、私の年令ではあと十数年です。それ以降も働きたいと考えても、過去の顧客はすでに失っていますし、再度独立するようなことは至難の業です。正社員になることは、結果的に仕事ができる期間を制約されることとなります。

そして、報酬の面では、正社員は決められた給与という最低保証がありますが、そこから増えていく余地はよほどの出世がなければ難しいと思います。
自営業は確かに不安定で、一円も売り上げがないという事態もあり得ますが、一方で正社員では絶対得られない金額を得るチャンスもあります。これを不安定と取るか、やりがいと取るかは人ぞれぞれです。

また、正社員は、仕事や上司を選ぶことはできません。多少の相談はできたとしても、希望通りになる保証はありません。思い通りにするためには、相応の権限を持つほどまでに出世しなければなりません。もしも相性の悪い上司にでも当たってしまったら、不当に低い評価をされ、左遷されるかもしれません。

さらに、正社員でもリストラなどで職を失う可能性はあります。そういうことはだいたいある日突然起こるもので、正社員ということでは心の準備がない状態であることも多く、その中でそういうことがあると、かなり残酷な状況になってしまいます。

このように、安定しているということが実は制約という面があり、不安定ということが実は可能性につながるという面もあるということです。

私は今の正社員化の流れに水を差すつもりは全くありません。起業や独立をあおるつもりもありません。ただ、少しだけ見方を変えると、こんな感じ方もあるということです。
いずれにしても、多くの人がイキイキと働けることが一番望ましいことで、それが実現されていくことで、景気循環も良くなり、経済が活性化していくと思います。
正規か非正規か、雇用か自営か、フルタイムかパートタイムかなどということにとらわれず、より多くの人が好ましいと感じる働き方が実現できれば、それが最も良いことなのだろうと思います。


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