2017年4月21日金曜日

「口は出すけど手は出さない」上司と「自分でやって部下に任せない」上司



それぞれ別の会社ですが、上司に対するこんな批判を聞きました。

一つは、自分の上司が「口は出すけど手は出さない」という話でした。
上司に指示を仰ぐと「君に任せた」というそうですが、そのつもりで仕事を進めていると、しばらくしてから「ああだこうだ」といろいろ口出しされるのだそうです。
しかし、その口出しは問題指摘ばかりで、それに対する上司からの具体的な支援や具体策の例示はなく、また自力でしばらく仕事を進めていると、同じように口出しがあるのだそうです。
本人としては手戻りを防きたいので、途中でいろいろ確認しに行きますが、その時にはあまり具体的な指示はされず、ある程度ゴールが見えてきたときに限って、口を出されて手戻りが起こる繰り返しだそうです。
「一方的なダメ出しばかり」「自分では何もしようとしない」「まるで評論家」という不満がいっぱいだということです。

もう一つの話は、上司が「自分でやって部下に任せない」という話です。
上司が何でも自分だけで仕事を進めてしまい、部下にはそれをあまり任せようとしないのだそうです。それで仕事が回るならばよいのですが、その上司がいろいろ抱え込んでしまうおかげで、いつまでもペンディングになっている課題があったり、期限遅れが発生したりするなど、仕事の進み具合に問題があるそうです。

部下には仕事の全体像があまり伝えられず、指示されるのは単純作業のようなものも多く、それに嫌気がさして辞めてしまう者も何人かいたようです。
部下たちは、「任せてくれないので仕事が覚えられない」「同じような仕事ばかりで進歩がない」「期限が迫った単純作業ばかりをしていて、仕事が面白くない」という不満があるそうです。

 これらの例ほど極端ではないにしろ、同じようなタイプの上司に出会ったことは、みんな一度や二度はあると思いますし、上司としての自分にも同じようなところがあると感じる人もいると思います。

 それぞれの話は、一見すると正反対の両極端にも見えますが、どちらも当てはまる共通点があります。
それは、部下には「実質任せていない」ということと、仕事を「教えていない」「指導していない」ということです。

ただ、それぞれの背景には多少の違いがあります。 
 前者の話では、あえて教えずに考えさせようとしている可能性もなくはないですが、そうでないとすれば、「仕事を教えられるだけのスキル、経験が足りない」ということです。口出しするのが上司としての精いっぱいのプライドかもしれませんし、その中身が果たして適切なのかはわかりません。もしかすると、まったくの専門外の人なのかもしれません。

 一方、後者の話では「スキルはあるが教えようとしていない」ということです。「見て覚えろ」という古風な感じかもしれませんし、仕事を取られたくないのか、自分でやらなければ気が済まないのか、そのあたりの理由はよくわかりませんが、部下に育ってほしいという思いは希薄で、育てることのメリットもあまり感じていないようです。

 こういう上司に対して、部下の立場からできることというのは実際には意外に少なく、どちらの場合もただ根気よくアプローチをしていくくらいしか手はありません。そんな根気にも限度があるでしょう。

こればかりは、その上司のさらに上席の管理職や、会社全体の人事まで含めて考えなければなりません。上司本人への指導や研修、フォローする人材の配置や部署異動というところまで考慮する必要があります。

ただ、こういう話は、当事者だけの固有の問題として閉じ込められているケースが意外に多いです。たいていの場合は「部下が上司のやり方に合わせる」という話で終わってしまいます。

上司にも問題がある場合の解決策を、部下たちの対応だけに求めても、それはなかなかうまくいきません。また、部下からの批判に対して、上司には上司の言い分があるはずです。

こんな組織の問題解決には、関係する周りの人たちすべての協力が必要です。組織に属するすべての人が当事者だということを、忘れてはいけないと思います。


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