三菱UFJリサーチ&コンサルティングというシンクタンクが、今年度の新入社員に対して行った意識調査に関する新聞記事を見ました。
その記事によると、「会社に望むこと」という設問に対して、「残業がない・休日が増える」という答えが、「給料が増える」との答えを、平成16年度の調査開始以来初めて逆転したのだそうです。
「一定時間は仕事から離れてオフを過ごしたいと考える」「会社に尽くすのではなく私生活を重視する“自分ファースト”のライフスタイルだ」という分析がされていました。
この記事だけを見てしまうと、「自分中心のマイペースで、仕事や会社はほどほどに収めておきたい今どきの新入社員」というイメージになってしまいます。
そんな捉え方にはどうも偏りがある気がして、この調査結果のレポートをもう少し細かく見てみました。
調査結果の中で、まず「会社に望むこと」には、「残業がない・休日が増える」や「私生活に干渉されない」との比率が年々大きく伸びていて、私生活重視という傾向の強まりは確かにあるようですが、ここでの圧倒的な一位の回答は、「人間関係がよいこと」でした。上司や同僚など周りと協調して、仲良く仕事をしたいということでしょうから、これは自分中心ということとは少し違います。
また、「終業後の付き合い方」という設問で、「会社の人と飲みに行くのは気が進まない」という回答が年々増加傾向なのは確かですが、「上司や仲間と時々飲みに行きたい」という回答は、それでも8割近くあります。これをもって「新入社員は会社の飲み会を嫌がる」と言い切ってしまうのは、やはりちょっと違うと思います。
さらに「出世意欲」という設問に対しては、「出世したい」と「出世しなくても好きな仕事を楽しくしたい」の比率が5年ほど前に逆転していて、確かに上昇志向や出世意欲が弱まってきているとは言えるでしょうが、今年度は全体でおよそ47%、大卒以上の男性に限ると62.1%が「出世したい」と答えていますから、やはりそれなりの上昇志向を持っている人が、今でも多いと捉えることができるでしょう。
この手の調査結果についてのコメントで、私がいつも思うのは、「いかにも今どきの若者像」というようなものを、過剰に前面に出そうとし過ぎているのではないかということです。
確かに比率は減っているのかもしれませんが、入った会社への愛着や帰属意識を持っている人の方が今でも多いですし、給料は高いに越したことはないし、飲みにだって行きます。
真面目さなどは、私たちのような中高年世代よりもよほどありますし、会社だけには頼れないということを、新入社員の今から意識していますから、とりあえず会社にしがみつけばどうにかなった世代の人たちとは感覚が違います。
世代が変われば価値観は変わり、確かにいろいろな面での考え方は違います。個人差も広がる傾向にあります。
ただ、その一方で相変わらず同じような面も、実はずいぶん多く残っているということも知っておくべきです。
どんなことでもそうですが、単純化して安易に言い切ってしまうと、本質を見誤ってしまう気がします。
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