2017年11月10日金曜日

組織の「フリーライダー」と言われてしまう人は増えているのか?



「フリーライダー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
ある集団において、自分は何もしないにもかかわらず、他のメンバーたちが得た成果に“タダ乗り”する人という意味の言葉です。会社組織においても、高い給料をもらっているのに何もしない、他人の成果を横取りするなど、「自分の貢献よりも会社から得ている利益が多い社員」を指して「フリーライダー」と呼ぶことがあります。

いろいろな会社でお話を聞いていると、必ずこの「フリーライダー」に関する問題が出てきます。「何もしない」というのは極端だとしても、「自分から動かない」「言われたことしかしない」「人任せ」「無責任」など、他人への依存が大きいというようなことは、すべてこの「フリーライダー」につながっています。
どちらかといえば分業が進んだ大きな組織の方が、この「フリーライダー」を生み出しやすい環境にあると感じます。

先日ある会社でも、社員が仕事に向かう姿勢の話になり、社長は「受け身」「他人任せ」など、その物足りなさを訴えます。それほど大きくはない中小規模の企業ですが、「フリーライダー」がいるのだと言います。

この会社の業務の進め方は、どちらかというと個人個人がそれぞれの担当を別々にこなすスタイルで、チームで仕事をするという意識があまり高くはありません。これは仕事柄もあってそのやり方が効率的だということですが、実際の生産性は低下傾向にあります。その一因が「フリーライダー」となっている社員がいるせいだと言います。

この「フリーライダー」の問題に苦労している会社は多いですが、基本的な解決方法は「タダ乗りしにくい雰囲気の組織を作る」ということです。これは上司が注意するということだけでなく、メンバー同士がお互いを見る目が大事になります。
この会社に私がアドバイスしたのは、ごく一般的な相互チェックのプロセスを入れることでしたが、たったそれだけのことでも、「フリーライダー」と言われてしまう人たちの行動はずいぶん抑えることができました。上司はともかく、同僚の目を無視してまで「フリーライダー」を続ける神経を持つ人というのは、さすがにほとんどいませんでした。

ある記事によると、最近「フリーライダー」が増えつつあるとされていて、その理由の一つに、終身雇用をはじめとした長期雇用が崩れて長い目で人を育てようとしなくなったことや、パソコンやITツールを使った個人作業の比率が増えたために、周りからチェックされる機会が減り、他人の目を気にしなくなったことがあるとされていました。

村社会のような環境は、決して良いことばかりではありませんが、こと「フリーライダー」への対策であれば、長期的な人間関係が結ばれ、インフォーマルなルールが作られているような環境の方が、それを防ぐことができます。私の経験でも、確かにそういう印象があります。

「フリーライダー」の防止など、組織を効率的に運営するために、昔ながらの密度の濃い人間関係というのも、ある一面では必要なことだと実感しています。


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