2018年12月3日月曜日

「リーダーの向いている人」と「昇進しやすい人」のギャップ


どんな人がリーダーに向いているのか、「リーダーに向いている人の特徴」には、とても多くの要件が挙げられます。
ちょっと調べただけでも、例えば「仕事ができる」「信頼される」「責任感が強い」「行動力がある」「逆境に強い」「メンタルが強い」「判断、決断に優れている」「努力をいとわない」「話をよく聞く」などといったものが目につきます。これらを見る限り、要はリーダーが「人格者」であることを求めています。
このすべてを兼ね備えるような人は、私はたぶん実在しないと思いますが、この要件を数多く満たす人が、「理想のリーダー像」ということになるのでしょう。

多くの企業でリーダー育成が重要なテーマに位置付けられ、ここに挙げられたような項目がリーダーの要件となる訳ですが、求めているのは人格的な要素なので、教えることや育てることが難しいのはわかる気がします。
そうは言っても、「リーダーに向いている人格者」が、リーダーとして存在していれば、組織にとって良い影響を与えます。少しでもそういう素養を持った人を見つけ出し、育成して登用することが重要ですし、仮にすべての要件を満たしていなくても、組織を良い方向に向けることはできるでしょう。

そんな中、最近目に留まったある記事に、「共感力の低い人ほどリーダーになりやすい」というものがありました。
心理学では「暗黒の3要素」と呼ばれる人格特性があり、それは「自分の野望や利益に固執し、そのために他人に影響を及ぼして踏み台にするマキャベリアン」「ひどい自己本位の傾向であるナルシズム」「他者への共感や気配りが欠如した反社会的人格であるサイコパス」の三つだそうですが、組織の長となる人に、この「暗黒の3要素」の特質を持った人が相対的に多いといわれているそうです。究極の自分ファーストの「イヤな奴」という感じですが、これが組織の中では「昇進しやすい人」となるのです。

また、長く権力に居座ると共感力はさらに低下することや、裕福な人ほど共感力が下がって、賄賂や脱税などの非倫理的な行為が許されると考える確率が高いなど、権力は共感を促進する脳のプロセスを阻害することがわかってきているそうです。

このように、「リーダーに向いている人」は必ずしもリーダーになっておらず、組織の中で「リーダーになりやすい人」は「昇進しやすい人」であり、それは「暗黒の3要素」の傾向が強い自分本位な人ということなのです。当事者同士の競争原理でリーダーを選んでいると、自分本位の「昇進しやすい人」ばかりがリーダーになってしまいます。それは組織にとって困ったことです。

これを防ぐには、「リーダーに向いている人」を、リーダーに登用できる仕組みを作ることと、そういうリーダーを数多く育てることしかありません。
組織を牛耳って私腹を肥やすというたぐいの企業や組織での不祥事は、相互監視が行き届いているはずの大企業でも起こっていて、そこには多分に「暗黒の3要素」を持ったリーダーが存在しています。共感力が低い自分本位の人に性善説で節度を求めても、それは本人に都合よく利用されるだけで、絶対うまくいきません。

「リーダーに向いている人」と「昇進しやすい人」のギャップは、なかなか悩ましいところがあります。その境目はよく観察していてもわかりにくいですし、出世意欲や権威欲の強い人は、手段を選ばずそれを得ようとしますから、何でもルールで縛るのも難しいでしょう。やはり「リーダーに向いている人」をリーダーに育成することが、より重要になってきます。なかなか思い通りにはならなくても、リーダー育成は続けていかなければなりません。
「昇進しやすい人」が良いリーダーとは限りません。リーダーの選び方、任命のしかたには、十分に注意しなければなりません。


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