2019年2月11日月曜日

「出戻り社員」を歓迎するならやっておいた方が良いこと


ここ最近、一度退職した会社に再び戻って入社する「出戻り社員」が増えているそうです。
ある調査によれば、「一度退職した社員を再雇用したことがある」と回答した企業は72%に達し、これは2年前よりも5ポイント高くなっているそうです。

背景にあるのは、人手不足による人材獲得競争の激しさで、多くの企業が優秀な人材を求めて、特に中途採用活動を拡大していますが、なかなか採用できないことに加えて、やはり採用して見なければわからないミスマッチも多く、うまく定着しないことに悩む企業も多くなっています。

ここで注目されるのが、社風、働きぶりなど、お互いの素性を知り合っている「出戻り社員」です。他の会社の空気を吸った経験があり、それでも元の会社に戻ろうという決意は、それまで以上に会社にコミットし、仕事に熱心に取り組んでくれるという期待ができます。

私ももう20年近く前の企業勤務の時代に、「出戻り社員」を何人も受け入れた経験があります。メリットとして考えていたのは、今になっていろいろな会社が考えていることと同じで、会社の良いも悪いもわかった人が戻ってきてくれるのが、会社にとっては最高の即戦力と考えていたからです。

その当時でも、「出戻り社員」を受け入れる会社はあるにはありましたが、退職は「縁切り」「裏切り」と捉える会社もまだ多く、今のように合理的に考える風潮ではありませんでした。
そんな頃に「出戻りOK」のさらに上をいく「出戻り歓迎」で活動していましたので、うまくいかなかったケースも含めて、話を聞いてくれたり向こうからアプローチをしてくれる元社員は何人もいて、「出戻り」に関しては、まず会社がどういう姿勢を見せていくかが重要だということを強く感じていました。

実際に「出戻り社員」に聞くと、やはり一度辞めた会社に対して、自分の方から「出戻り」を言い出そうと思うことはなく、声をかけてもらったことや、制度があったことで、出戻りに対する心理的なハードルが下がったと言っていました。

前述の調査では、72%が「出戻り社員」を受け入れている反面、具体的な制度を設けている会社は、まだ8%しかないそうです。さらに制度の中身も、結婚や出産、育児、介護ほか、家庭の事情で退職した者に対象を限っていたりします。
転職などの自己都合退職も認めるようにしたり、退職理由自体を不問にしたりする動きも出てきているようですが、それでも退職後の期間を制限する例が、まだまだ多いとのことでした。

私の考えは、これからの人材市場を考えても、「出戻り歓迎」からさらに進めて、「”出戻りたいと思われる会社”にするにはどうするか」というところまで考えていく時代になっていくと思っています。
少なくとも「出戻り歓迎」という姿勢を対外的にも示す必要があり、そのためには、制度の形にきちんと組み立てて、出戻りを考える人からもアクションしやすい環境を作っておくことが重要です。

「出戻り」は、少し言い方を変えると「復縁」ですが、それを望んでいるかどうかわからない相手に自分から持ち掛けるのは、とても勇気がいることです。自己都合で転職するなど、自分の意志で退職したような過去があれば、なおさらでしょう。

もしも、「出戻り社員」を即戦力として、積極的に受け入れていこうという考えがあるならば、そのための制度を作って会社の姿勢を見せていくべきです。さらに対象者についても、よほど円満退職ではなかった場合を除き、制限は少ないに越したことはありません。

「出戻り社員」が増えているとは言いながら、まだ手探りでおそるおそるという部分が見られますが、たぶんこれからは、そのメリットを評価する動きが強まっていくのは間違いありません。他社に先駆けた早い動きが望ましいと思います。


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