コロナ禍で様々な新しい取り組みが進められる中で、その会社が持つ姿勢や価値観が、わりとはっきり見えやすくなっていると感じます。
例えばリモートワークの話では、導入に向けた取り組みには経営者の考え方が強く反映されていますが、それは同じ業界で似たような職場環境と思われる会社同士でも、中身は正反対であったりします。
「経営者が前向きでない」という話は実は結構よく聞きますが、そこから仕方なく認める会社と断固として認めない会社に分かれます。さらに仕方なく認めた会社でも、やっているうちに経営者が考えを変えて前向きになったり、反対にやっぱり難しいと後ろ向きの度合いが増したりします。
断固認めないという会社がその後変わった話はあまり聞かないので、特に働き方に関して、少なくとも経営者はやっぱり保守的な傾向が強いと感じます。
リモートワークについて、私が話を聞く限りでは「環境が整っていないのでできない」という会社が多いですが、この環境といっている内容は様々です。例えば「ウェブ化、クラウド化ができていない」など、IT関連の問題で難しいという会社は多いですが、「では実施するためにどうすればよいか」という視点で突っ込んで聞いていくと、それ以外の「できない理由」が次々と出されてきます。
パソコンを始めとした設備機器の問題から始まり、業務プロセスの問題、社内システムの問題、セキュリティの問題などが芋づる式に出てきます。それらは確かにすぐに解決できるものは少なく、それぞれ難しいことは理解できますが、「それを解決しよう」という意思を感じることも少ないです。端的に言えば「できない理由を並べている」ので、要は「あえてやる気がない」ということになります。
日頃は「チャレンジ」「イノベーション」と言っているような会社なのに、いざこういう状況になった途端にできない理由を並べていたりします。
しかし、中には「どうやって実施するか」を考える会社があります。こんな時期なのですべてが整うことはありませんから、必ずどこかは見切り発車になりますが、とにかく「できるところからやってみよう」という姿勢です。試行錯誤をしなければならないのでいろいろ大変ですが、新しい環境に適応しようと積極的に取り組みます。これは堅いイメージだった会社が、意外に柔軟に対応していたりします。
リモートワークについて、政府は出勤率の7割削減と言っていますが、今の実施率がおおむね2割前後、最大だった時期でも3割程度です。これは多くの会社の姿勢を見ていると、ここから飛躍的に増えることはたぶんないでしょう。やっぱり「理由をつけてやらない」という会社がまだまだ多い感じがします。これは「変えずに済む方法を探している」というようにも見えます。
こうやってみていくと、今のような先が見通しづらい緊急時ほど、その会社の本質的な姿勢が見えるようです。新しいことに慎重すぎる点が、今の日本の閉塞感につながっている気がしてなりません。
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