2021年3月25日木曜日

「リアル」と「リモート」を使い分ける考え方の違い

在宅勤務をはじめとしたリモートワークが一般的になってきた中で、また感じ方と判断基準の差が人ぞれぞれで大きく、どう判断するかが難しい事柄が増えてしまいました。

それが直接対面する「リアル」と、ウェブ会議などによる「リモート」の使い分けに関することです。

 

現場で悩んでいる話としてよく聞くのは、上司と部下の関係でのことです。たまには表情を見たり近況を聞いたり、「リアル」で対面して様子を確認したいと考える上司と、そんなことは不要で「リモート」で十分と考える部下との認識ギャップです。

 

上司が「たまには対面でミーティングをしたい」と部下に出社を要請しても、「なぜそれが必要か」「リモートではダメな理由がわからない」などと反論され、なかなか会って話すことができません。

コロナに関係して、外出に対する危険認識の個人差もからむので、何かルールでもない限りは、無理強いすることもできません。

 

部下と対面する時間が極端に少なくなり、心理的距離がどんどん離れてしまうような不安を持つ上司が増えていますが、「別に仕事上の支障はない」とビジネスライクに割り切っている部下とは、コミュニケーションの取り方が難しくなっているという話をよく聞きます。

もともとどんな関係だったかにも左右されるところですが、コミュニケーションが取りづらかった部下ほど、「リモート」が増えることでさらに疎遠になってしまう傾向があり、上司が心配になる気持ちはよくわかります。一方、部下の気持ちとして、苦手な人との接触を必要最低限にとどめたいと思ってしまうのは、仕方がないところがあります。

実際に上司と部下のどちらが正しい、間違っていると、一概に言えることではありません。

 

この「リアルが必要」、「いやリモートで十分」という分かれ目の基準は、本当に千差万別です。

あくまで私が聞いていて個人的に感じていることでは、どちらかと言えば「シニア」「男性」の方がリアルを求め、「若手」「女性」の方がリモートで問題なしと考える傾向が強いように思います。

そこにはこれまでの経験、ITリテラシー、コロナ禍への考え方、対人関係に関する価値観、その他いろいろなことが関係していますし、さらに業種や職種といったことでの違いや、同じ業界でも基準は正反対ということまでありますから、単純に類型化することはほぼできません。

 

理解しておかなければいけないのは、こういうことはコミュニケーションツールのバリエーションが増えるたびに、常に起こるものだということです。

以前、ビジネスで電子メールが使われ始めた頃も、本来は電話するべき、会いに行くべきといった批判や、隣の席同士でメールしていることへの驚きや嫌悪といった話がありました。

つい最近でも若手社員がクレームへの謝罪をメールでおこなって、先方の怒りを買って取引停止になったなどというエピソードがありました。「メールでの謝罪なんて非常識」という声があった一方、若手社員は「電話で相手の時間を奪うのは失礼」と考えた上での対応だったことへの同意や、「この程度のことで取引停止なんて感情的でやりすぎ」という相手企業への批判もありました。

 

こういう話は、一つの答えが出ることはたぶん永久になく、そのばらつきが問題だと考えるならば、会社としての基準を決めるしかありません。そして、基準を決めたとしてもすべてを制御することはできませんから、ある程度の違いは許容するしかありません。

 

ここで一つだけ思うのは、自分の価値観をもとにした一方的な批判だけはするべきでないということです。一概に善し悪しは言えないという前提を共有したうえで、お互いの価値観をすり合わせるように話し合っていくしかありません。決めつけることは絶対に避けなければなりません。

 

 

 

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