ある会社で「不満分子」という話題が挙がりました。何かにつけて常に不満を言うクレイマーのような社員がいるそうです。そういう社員はどこの会社でも一人や二人はいるものですし、それほど長くない在籍期間で辞めていってしまうことも多いので、そこでいわれる不満が会社として大きな問題にはならないことがほとんどです。
「不満分子」が良いとらえ方をされることはないでしょうし、いないに越したことはないと考えるのが普通のことでしょう。
私自身の経験でも、不満が多い社員に向き合っているのは、正直言って気が滅入ることが多かったです。「なぜそんなことまで文句を言わなければいられないのか」「それくらいのことは受け入れれば良いではないか」と思うこともしばしばありました。
やはり「いちいち文句を言わず」「現状を肯定的にとらえて」「何事にも前向きに取り組む」という社員を好ましく思うところがあります。
ただ、そんな「好ましい社員」を見ていると、自ら改善提案をしてくるような行動は、実はあまり多くはないことに気づきます。
意見を聞きたいと投げかければ、問題があると感じるところや直した方が良いところを話してくれますが、実際にそれを改善しようとする取り組みに対しては、あまり熱心という感じではありません。もちろん人物的には信頼できますし、何か指示すれば真面目にやってくれます。
しかし、「現状に肯定的で文句を言わない」ということは、少なくとも今の状況にある程度満足しているということを意味します。環境への順応性が高いということもあるでしょう。ただ、「今のままではいけない」という問題意識については、薄くなりがちではないでしょうか。
その一方、社内で不満をいう人は、少なくとも「今の状況ではダメだ」という問題意識は持っています。その後の改善行動がなく、ただ評論家的に批判をするばかりでは好ましいと思えませんが、「現状を肯定して改善を考えない人」よりは、「現状の課題を指摘して不満をいう人」の方が、問題意識を持っているという見方ができます。ただ、その人物に対して、不満や批判ばかりの「不満分子」とのレッテルを貼ってしまうと、仮に問題意識そのものは間違っていなかったとしても、その中身をきちんと受けとめることをしなくなってしまいます。先入観から聞く耳を持たなくなってしまいます。
一見良さそうな「社員からの不満がない会社」は、実は問題意識や改善意欲がない会社かもしれませんし、反対に「不平不満が渦巻く会社」は問題意識や改善意欲が高い、伸びしろが大きい会社と言えるのかもしれません。
「不満分子」と言われてしまう中身には、「言うだけで行動しない」という要素が多分に含まれています。しかし、問題意識や課題指摘としては正しいものが含まれています。
「不満分子」であることと、その不満の内容は切り分けて考える必要があります。「問題意識」があるからこそ、不満は出てくるものです。
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