最近、あらためて「セレンディピティ(Serendipity)」という言葉を耳にする機会がありました。
「偶然の産物」「幸運な偶然を手に入れる力」などを意味する言葉です。
イギリスで生みだされた造語で、ある物語の主人公が、優れた能力や才気によって、有益なものを偶然発見して手に入れていく話が語源になっているそうです。
ただの「偶然の運」ではなく、「偶然をきっかけに幸運をつかみ取る力」「幸福を引き寄せる力」とも言えるでしょう。
この「幸運な偶然」に、コロナ禍の中では出会うことが難しくなっていると感じます。
私自身のことで言えば、人との偶然の出会いやただの雑談のような話から、まったく意図していなかった大きな仕事の話につながることがときどきあります。経営者や営業職の方々であれば同じ経験があると思いますが、たまたま出会った人から仕事を紹介されたり、別件で訪問した会社で、たまたま顔を合わせた別の担当者から仕事の打診を受けたりします。予定されていない偶然の出会いや、立ち話のような非公式な雑談は、営業活動の中では必要なことです。
しかし、この予定されていない偶然は、リアルの対面でなければなかなか難しいという感覚があります。
テレワークとの両立が進められる中で、計画されたことを着々と確実にこなす仕事では、テレワークの方が確実に効率が良いと感じます。しかし、これが営業活動となると必ずしもそうとは言えません。
既存顧客との継続的な案件であれば、リモート会議などでも十分ですが、新規営業の活動をリモートだけでこなすのは難しさを感じます。確かにオンライン上にも様々な出会いの場はあり、難しいという思い込みがよくないのかもしれませんが、物理的な距離が近くないと、偶然の回数はどうしても減ってしまいます。
テレワークが定着する中で、リアルとの使い分けが大事なことを、明確に感じるようになってきました。
少し違う話題ですが、ラインなどのメッセンジャーアプリでのコミュニケーションで、ボイスメッセージ機能を使う若者が増えているという話を聞きました。言葉でのコミュニケーションには温かみを感じるという理由だそうです。手書き文字の文章を画像で送るという話も聞きますが、こちらも温かみがあるからとのことです。これらはどんな世代にも共通する感覚なのでしょう。
ただ、これらも基本的には既に面識があって、ネット上でつながっている者同士のコミュニケーションであり、新しい出会いということではありません。
将来的には「幸運な偶然」に出会えるような新しいフラットフォームが現れるかもしれませんが、今のところはやはりリアルが必要と感じます。
どんなに時代が変わっても、人間同士が直接対面で出会うことは、私にとって重要なことです。
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