2022年9月19日月曜日

「管理職にはなりたくない」が加速している?

 あるテレビ番組で、「頑張らない働き方」「出世したくない20代」という話題が取り上げられていました。「管理職の多忙さを見ていて、自分はそれが耐えられない」「大変な割に報酬は低い」「そこまでしてお金は欲しくない」など、管理職にはなりたくない理由が挙げられています。

この話自体は、もうずいぶん前から言われていることですが、最近はこれが日本だけの現象ではないということでした。

 

アメリカの若者たちの間では、「静かな退職(クワイエット・クィッティング)」といって、積極的に熱意を持って労働するわけではないが、完全に働くのをやめるわけでもなく、「必要以上に一生懸命働くのをやめる」というワークスタイルがあるそうです。

 

また中国では、「寝そべり族」といって、過酷な競争社会に立ち向かうことをあきらめて、結婚もせず、子供も持たず、消費をせず、仕事の時間を減らし、最低限の生活を送ることを志すという生活スタイルの若者たちがいるそうです。「資本家の金儲けの材料となって搾取されることを拒否する」というポリシーがあるそうです。

 

これらに共通するのは、経済的な成功や他人との競争、人を動かす地位に就くことなどには、魅力も必要性も感じていないということです。金銭や地位といったものが、モチベーションにはつながらないことを意味しています。

 

もちろん、管理職になりたい若者や、競争に勝って地位を得たい若者は、今でも間違いなくいるでしょう。ただ、そういう志向の人が管理職に適任かというと、必ずしもそうではありません。

そもそも「競争心の強い管理職」が、「競争することを軽視、もしくは軽蔑する若者たち」から認められて、良いチームを作ることができるかというと、それはなかなか難しそうです。こういう人たちを扱わなければならない管理職の仕事は、さらに難易度が高くなって、適任者も少なくなっていくのではないでしょうか。

 

この番組では、若者たちには競争・格差社会への反発もあって、逆に横並び意識の強さが増しているとされていました。上下関係、弱肉強食、勝ち組負け組ではなく、決定権や分配など何でも平等を求める傾向があるそうです。みんなで食事するときのお店やメニュー決め、役割や当番決めを、ルーレットアプリでやっていました。

 

また、最近の若者は「社会の役に立ちたい」という意識が強まっているともいわれていました。自己満足よりは周囲からの感謝、社会貢献といったことの方が、仕事のモチベーションにつながるようです。

そうだとすれば、個人的な昇進や金銭的なインセンティブがどうこうというよりは、自分の仕事がどのように社会とつながっているかを意識させることや、会社としてそういった取り組みをおこなっていくことが必要になってきます。

 

こういう志向がこれからも強まってくるのだとすると、会社での組織の作り方も、大きく考え方を変えていく必要があります。階層構造を持たないティール組織などの導入を、本気で考えていかなければなりません。

もしかすると、「管理職が存在しない会社」が当たり前になる時代が来るのかもしれません。そういう変化に対応できるような企業だけが、生き残っていけるのではないでしょうか。

 

 

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