知人の社長と話していて、自身の会社が最近手掛けている仕事の話になりました。
偶然のつながりやタイミングがうまく重なって始まった仕事が、急激に成長して予想していなかったような大成功だそうです。社長自身は「自分は運を持っている」「勘が良かった」としきりに言います。自画自賛が過ぎるのもどうかと思いますが、話を聞いていると、成功要因は確かに運や勘でしか説明できないところがあります。
ビジネスにまつわる「運」や「勘」の話は、特に経営者からはよく出てくるものです。
「運」の話はほとんどが幸運に関することで、「自分の運が悪かった」というような話に出会うことは少ないです。不運を嘆いているようでは経営者としてやっていけない、続けられないということかもしれません。
「勘」については、良いことに働いたものと、悪いことに働いたものの両方の話があります。どちらかというと、危険察知のような第六感的な話が多いかもしれません。
ビジネスを成功させるために、この「運」と「勘」は、どうも必要条件のように感じます。
では、これを高めることができる方法があるのかを考えてみると、絶対というものではありませんが、うまくいっている人たちの様子から参考になることがあります。
「運」で言えば、やはり幸運を持ってくる人は何かしら行動しています。特に「誰かと会うこと」に多くの時間を割いているように見えます。また、そこで会っている相手は、一言でいうと「良さそうな人」ばかりです。多くの幸運は他人が運んできてくれるものと考えれば、これは意味があることのように思います。
もう一つの「勘」ですが、これが良い人に共通するのは、それを常に働かせていることです。データや統計、過去事例などは見ていますが、それだけに頼らず、自分の感性も合わせて使っています。「勘」を働かせ続けることで、それを研ぎ澄ましている感じがします。
これは前述の「運」と関連しますが、周りに集まってくる人は、必ずしも良い人ばかりとは限りません。自分の都合だけを考えている人や、中には悪意を持って近づいてくる人もいるかもしれません。そういう相手を、自分の「勘」に基づいてうまく排除しています。
これはあるところで聞いた話ですが、まったく同じ設備で同じ製品を作っているにもかかわらず、不良品率が他に比べて圧倒的に低い工場があったそうです。
そこにはベテランの工場長がいて、何か少しの違和感があれば、機械の整備や原材料の確認、その他対策によって、不良品発生を未然に防いでいたそうで、これはどんなにデータを駆使しても、他の工場で同じことは再現できなかったといいます。またベテラン工場長自身も、違和感の理由を明確に説明することはできなかったそうです。まさに職人の「勘」で、第六感と言ってもいい危険察知能力ですが、データだけに頼らず「勘」を働かせ続けてそれを磨いていったのでしょう。
今はスマホのような便利な道具がたくさんありますが、それらに依存しすぎると「勘」が鈍っていってしまうことがありそうです。
「運」と「勘」は、教わったり勉強したりすることで身に着けられるものではありませんが、ビジネスには確実に必要なものです。良い出会いを増やし、感性を働かせ続けることが、その一助になるのではないでしょうか。
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