2023年5月1日月曜日

「伝承」の大切さ

最近のテレビ番組で見たことですが、コロナ禍でずっと中止や延期になってきた行事が復活してきて、大学生サークルの新人歓迎会なども同じように再開されてきているそうです。

ただ、約4年間のブランクがあることで、サークル内に誰も経験したことがある人がいない状態になっていて、例えば先輩たちがみんなを盛り上げようと頑張りすぎて、先に酔いつぶれてしまったりするようなことがあるそうです。

 

他にも、例えば地域の自治会が主催しているようなお祭りで、役員が誰もが祭りの幹事を経験したことがない状況になっていて、いろいろ苦労しているという話を聞きます。1年ごとに役員が交代していくような組織も多いので、やり方を聞くにはずいぶん前の役員までさかのぼらなければならず、さらに聞かれた人も4年以上と時間が経ちすぎていて、あまり様子を覚えていないようなことがあるようです。

こんなことから、これまではあまり意識していなかったことですが、物事を継続しておこなって関係者に「伝承」していくことで成り立っていたことが、実は多かったということを実感します。

 

この「伝承」ということから思い出すことがあります。

日本を代表する神社である伊勢神宮で、20年に1度の頻度で内宮外宮の正宮やその他の別宮、橋なども造り替えられる式年遷宮です。

それが行われる理由として、宗教的な意味もありますが、宮大工や神宝製作の匠の技を伝える技術伝承という目的があるとのことです。

20年という期間は、人生が50年程度と思われる当時の寿命でも、人生で2度は遷宮に携わることができ、次世代へ技術を継承していくのに合理的だったからだといいます。

今は平均寿命が80歳以上となりましたが、当時では技術を正確に伝えるには精いっぱいの年限だったと思われますが、こういうことを積み重ねていくことで、技術をはじめ様々な文化や思想なども伝えていたということです。

 

今、多くの企業でも、この「伝承」が問題になっています。うまくいかない理由には、年齢構成で世代のギャップが大きくなっている組織の問題であったり、伝承がシニア世代からの押し付けになっていて若い世代がそれを敬遠していることだったり、古いノウハウを軽視しがちな雰囲気があったり、他にもいろいろなことがあります。

 

ある会社では、もう80歳近い嘱託社員の技術者がいて、3~5年に一度くらいの頻度でその人しか経験したことがない技術を使った仕事の案件があるそうで、その技術伝承のために高齢でも会社に残ってもらっているそうです。ご本人は「もうそろそろお役御免にしてほしい」と笑いながら話していましたが、会社としてはこうやって意識的に技術伝承をしていくことが必要ということを感じます。

「伝承」の大切さを認識し、これを続けていかなげればなりません。

 

 

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