最近は、「会議の改革」に取り組んでいる会社が目につきます。生産性向上を目的として、その進め方を工夫して回数や時間を減らそうとしています。パワポ禁止、資料はA4用紙1枚まで、着席せずに立ったままといった実施方法を取っていたり、直接的に回数や時間数を制限していたりします。議題は事前に、必ず結論を出すなど、ごく基本的なことがあえて言われていることもあります。
社内での打ち合わせは、「会議」と言われたり「ミーティング」と言われたりしますが、言葉が違うということは、一応その意味にも違いがあるとされます。
まず「会議」の定義は、ある議題や目的について、複数の人が集まって議論を行うことです。明確な目的や議題があるものを言い、その議題や目的に対して必ず意思決定がされます。そのため必ず意思決定ができる責任者が参加し、他のメンバーも議題や目的に対して意思決定に関与するか、意見が言える人に限られます。
ただ意見を出し合うだけで、何も決まらないもしくは決められない場は、会議という定義から外れます。
これに対して「ミーティング」は、参加者全員での情報共有やコミュニケーションが主な目的になるものとされます。
参加者は役職や立場に限定されることはなく、内容も現状報告や意見交換など様々です。比較的少人数で行われることが多く、必ずしも意思決定の場である必要はないのが、会議との最も大きな違いです。
そんなことは当たり前に知っているという人も多いかもしれませんが、この「会議」と「ミーティング」が意外に区別されていないと思われることに、結構よく出会うことがあります。
例えば、「無駄な会議」という指摘の中に、「会議がただの報告会になっている」というものがあります。「資料の朗読になっている」「発言者が限られている」「特に何か議論されるわけでない」などと言われますが、このままだと、会議とミーティングのどちらの定義にも当てはまりません。
報告に対して、何らかの指示が出されたり意思決定がされたりするのであれば、「会議」の定義は満たします。内容的に無駄な時間があるとしても、すべてを無駄ということはできません。
一方、意思決定がされないのであれば「ミーティング」ということになりますが、この参加者が大人数ということになると、それをミーティングとは言いづらくなります。報告を情報共有と位置付ければ、目的としては一応合致しますが、特に意思決定者が出席しなければならないものではなくなります。
こんなことから見ると、わりと多くの会社で行われている「報告だけの役職者会議」などは、「会議」と「ミーティング」があいまいになっている典型例となります。
よく実施される「会議の改革」では、目的を明確にする、時間を決める、参加者を厳選する、意見交換しやすい雰囲気づくりやファシリテートをするなどといった取り組みが言われますが、その場が会議なのかミーティングなのかによって、意識しなければならない内容や優先順位は変わります。
今やっているのは「会議」なのか「ミーティング」なのかを混同せずに区別する意識も、「会議の改革」には必要なことではないかと思います。
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