最近接点があった会社で、平均年齢30歳そこそこの会社ですが、「今どきの若者」とはちょっと違うことがたくさんあって、いろいろ興味深かったことがありました。
まず目についたのは、社員旅行や飲み会をはじめ、社員同士のレクレーションなど、昭和っぽいと言われそうな社内行事がたくさんあり、しかもその参加率がとても高かったことです。社員の本音がどうなのかわからないところもありますが、旅行については「来年はどこそこに行きたい」などと話し合っているので、それなりに楽しみにしているようです。
飲み会と表現しましたが、お店で宴会をするばかりではなく、ランチ会とかケータリングを使った社内懇親会とか、サプライズで始まるピザパーティーとか、その中身はいろいろです。参加を強制されることはないですし、お酒は飲むときも飲まない時もあります。そんな中で社員は、「仕事」とも「プライベート」とも言えないような時間を、わりと楽しそうな様子で一緒に過ごしています。
「仕事」と「プライベート」の区別をあまり気にしていないのか、社員同士は仕事を離れたところでも結構交流しているようです。共通の趣味に取り組んでいたり、休みの日でも一緒に遊んでいたりします。
要は社員同士が仲良しなのですが、基本的に中途採用ばかりの会社なので、みんな経歴や境遇は違いますし、若いとは言ってもそれなりのベテラン世代の人たちもちらほら見かけます。決して同じような属性の人たちばかりがつるんでいる感じではありません。
経営陣は30~40代の比較的若い年齢の人が多いですが、見ていて気づいたのは、誰も威張ったり偉そうに振る舞ったりしないことです。緊急事態や専権事項は除きますが、一方的な命令をせずに関係者としっかりコミュニケーションを取りながら物事を決めていきます。上から威圧することがないので、当然ですがパワハラのような問題も起こりません。上下関係に委縮せず、わりと本音で話し合える環境があります。
売上利益などの目標は掲げていますが、そこまで厳密に追いかけているわけではなく、あまりガツガツしていません。ダメだと思えば下方修正のようなことも躊躇せずに行います。
入社してきた人には、みんながウエルカムな雰囲気で話しかけ、仲間として溶け込めるようにいろいろ世話を焼きます。社員が食事をしたり遊んだりする場に代わる代わる誘っています。なじみやすい人を選んでいるという側面はありますが、早くなじめるような働きかけがいろいろあります。
「働きやすさ」を求めていった結果として、こうなっていったのではないでしょうか。
こんなことから個人的に思い出したのは、私の高校時代で一番一体感があったクラスのことです。仲良しグループは複数ありましたが、それぞれお互いに認め合っていて、クラス全体で何かやろうという時は、誰がリーダーということもなく協力し合っていました。いじめなど一切なく、クラスの中に全員の居場所がありました。
お互いを認め合って尊重し合うこの会社の雰囲気は、その当時のことを思い出すところがありました。
実際に仕事をしている中では、たぶんそんな綺麗ごとだけでは済まないですし、外部からは見えないいろいろな問題があるでしょうが、少なくともみんなが毎日仲良く仕事をしている様子を見ていると、競争、他人の評価、上下関係、指示命令、支配、威圧などのありがちな職場の風景は、実は不要なことではないかと思ってしまいます。
仕事は日常のことであり、それが必要な時期はあったとしても、基本的に修行や鍛錬とは異なるものです。厳しさばかりでは、人間はいつか疲弊してつぶれてしまうかもしれません。
多くの人が心を穏やかにして働ける環境は、あらためて大事なものだと感じた経験でした。
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