仕事でもプライベートでも、何かしらの不安というのは誰にでもあるものです。
ただ、その気持ちがあまりにも強すぎるのは、決して良いことではありません。
最近お話しをしたある会社の人の中に、この不安感をとにかく強く持ってしまっていると感じる人がいました。
何をするにも「自分ではできないのではないか」「失敗するのではないか」と恐れていて、特に新しいことや経験が浅いことには、なかなか踏み出すことができません。
できるレベルのことだと説明して、勇気づけて、フォローを約束して、ようやく納得して動き始めますが、それでも常に不安でストレスの度合いは高いままです。他人に迷惑をかけてはいけないと思うようで、フォローを求めてこないと思ったら、どこかでお手上げになってすべて投げ出してしまおうとするなど、極端な対応が見られることがあります。
とにかく自分に自信がなく、自己肯定感が低い傾向ですが、その要因にはもともとの性格もあるでしょうし、完璧主義や思い込みのような思考パターンの癖、さらには成功体験がない、褒められたことが少ない、トラウマを抱えているなど、これまでの経験による後天的な要素もあるでしょう。
不安になる大きな要因というのは、「先行きがどうなるか予想できないこと」にあります。
そもそも、これから先に起こることを正確に予想できる人は誰もいませんが、「こうすれば7割がたはうまくいく」「ここさえ間違えなければ失敗は防げる」など、過去の経験から一定の幅の中で予測することはできます。良し悪しはともかく、例えば「この上司を怒らせない方法」などは、たぶん経験から得られるもので対応することができ、無用な叱責を避けられることがわかれば、不安が軽減されることは確かでしょう。みんなそうやって不安と向き合って対処しているものです。
この「不安感の強すぎる人」と話していて思ったのは、自分がそれなりにうまくいったことでも、そこにはあまり目が向いていないことです。成功しているのにそう思っていない、褒められているのに気づいていないといったことが多く見受けられました。
そんな話をこちらからいろいろ投げかけてみると、初めは「えっ…」と驚いた様子で、そこから半信半疑の表情になり、徐々に「そういうものでしょうか」と自分のことを少し肯定的にとらえることができ始めたようでした。
必要以上の不安感から脱するには、現実的な見方をして自分の状況を客観視することが大事ですが、自分だけで整理することが難しい場合は、第三者からの問いかけやフォローが必要になります。
上司や同僚との間でそんなやり取りができていれば良いですが、スピード優先で時間的余裕がない環境、コロナ禍の影響や世代間ギャップなどによるコミュニケーション不足など、それぞれの自己肯定感を高めるような取り組みは、なかなか行えていない様子が多く見られます。
不安感の強さは、本人の気持ちが弱いのではなく思考パターンと自己客観視の問題が大きく、その緩和を手助けすることは決して甘やかしではありません。
本人の視野が広がるような周りからのちょっとした働きかけで、不安はずいぶん緩和、改善することができ、そのことで本人は落ち着いてパフォーマンスを発揮することができるようになります。
もし身近にそんな人がいたら、少し話を聞いてあげて欲しいと思います。
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