2013年5月25日土曜日

求人応募者との相互理解不足の害


 経営者の方々、人事担当の方々の多くは、せっかく苦労して社員を採用したのに、短期間ですぐ辞めてしまったというような経験をお持ちだと思います。

この大きな原因の一つは、採用時の会社理解の行き違いです。応募者から見れば「初めの話と違う」「思っていたのと違う」ということ、会社からすれば、「もっとできると思っていたのに」「期待はずれだった」などという例がこれに当たります。

応募者と会社側のお互いの理解不足ですから、当然双方に問題がありますが、採用活動の主導権というのは、一般的に会社側にある場合がほとんどですから、応募者側の努力にはおのずと限界があります。早期の退職に至ってしまうようなミスマッチの原因は、どちらかといえば会社側の情報提供のしかたに問題のあることが多いと感じます。

例えば、「こんな事を知ったら辞退されてしまうのではないか」と、現実をはっきり伝えなかったり、入社の直前直後に状況が変わって、当初の約束と話が違ってしまったり、そもそも伝えるべき事項を認識していなかったり、情報提供する意識が希薄だったりして、純粋に意思疎通が不足している場合などがあります。

いくら言いづらいといっても、肝心なことを隠すのは、後から問題になるに決まっていますし、様々な事情で最初の話と違ってしまったというような場合も、事前に状況変化の可能性を伝えておくことや、話が変わった段階で速やかに誠意を持って話し合うことなどが必要でしょう。

伝えるべき事項を認識していない、意識が希薄などというのは、悪気がないゆえに最も問題で、これは逆の立場でいえば「応募書類が整っていない応募者」と同じことになります。こういう人を採用したいと思う会社はないでしょうが、これは応募者側から見ても同じことになります。自社の情報を積極的に提示しようとしない会社には、あまり信頼感を持てないでしょう。

また、「期待はずれだった」というような、会社側から見たミスマッチにも、情報提供不足が関係しています。
応募者からすれば、自分にやっていけそうもない仕事、合わなそうな会社に入社しようと思わないのは当然で、入社するということは、少なくとも自分では大丈夫と判断したということです。

その応募者を採用するか否かは、会社側が面接などの選考によって決めることではありますが、もしも会社側がしっかり情報提供をして、お互い会社理解での行き違いを極力少なくする事ができたとしたら、採用基準に合わない応募者は、たぶん自分の方から辞退していくはずです。やはり自分のことは自分が一番わかっているという面があります。

早期の退職者が出たり、能力の見込み違いがあったりすると、それを事前にどうやって見極めるかという議論になりがちですが、採用活動は実際にはお互いに選び選ばれる行為です。いかに応募者を選ぶかということばかりでなく、自分たちのことをより知ってもらおうと努力すれば、「早期退職」「期待はずれ」もずいぶん少なくなるのではないかと思います。


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