2013年6月11日火曜日

またチヤホヤする気? の新卒採用


先日ある都内の交差点でのこと、近くで合同企業セミナーのような就活イベントがあったようで、リクルートスーツの学生さんが大勢歩いていました。
その交差点で、たぶん企業側の関係者と思われる人が、通りがかる学生さんたちに声をかけています。パンフレットを配り、結構長い時間引き留めて何かいろいろ話しています。学生さんだって企業の人と思えば邪険にできないでしょうから、足を止めて話を聞き、にこやかに応対しています。どうも自社説明会への勧誘か何かをしているようです。

その後ちょっと時間があったので、近くのカフェに入ったところ、あとから学生さんらしい二人を引き連れた、人事部長っぽい人と担当者かリクルーターらしい数人のグループが入ってきました。聞こえてきてしまった話では、そのイベントに出ていた某有名私大の学生さんを連れてきて 自社の会社アピールをしているようです。もしかすると囲い込むことが目的かもしれません。

私は企業の採用活動のお手伝いもしますが、こういうキャッチセールスまがい、ナンパまがい、勧誘まがいの活動は絶対にやめて頂くようにお願いしています。ミスマッチを助長しがちなこと、会社の評判を落とす恐れがあることからです。

どんな人でもチヤホヤされれば、何となく舞い上がってしまうことも少なくないと思いますが、採用活動の場面で学生さんに対して行うと、学生さん自身は冷静な判断がしづらくなります。面と向かってラブコールされれば悪い気はしませんし、「この人は良さそうな人だから・・・」などと会社自体とは関係ないことが判断基準になったりします。「いろいろ考えさせないことが狙いで、入社させてしまえばこっちのもの」なんて会社もあるようですが、これはまさにミスマッチの温床です。

また、チヤホヤしたからといって、会社は全員を入社させようと考えているわけではありません。さんざんチヤホヤされたあげく、「あなたは不採用でした」と事務的な通知が一通届いたとしたら、これを学生さんからみれば、あの時言われたことは何だったの?不信感を持ってもおかしくはありません。その会社に対して良い印象を持つわけはありませんから、広い意味での企業イメージに悪影響を及ぼします。今はネットなどを通じて、悪い噂はあっという間に拡散します。

ここのところ、雇用環境が劇的に良くなっているとは言えませんが、多少変化の兆しが見えるということで、こんな焦ったような動きをする会社が出てきているという話を聞きます。ただこれは、学生さんを勘違いさせてしまったり、冷静に考えさせたりする機会を奪うから良くないことだと、過去に学んだのではなかったのだろうかと思います。やはり需給バランスが崩れると、同じことを繰り返してしまうのでしょうか。

過去を教訓にして、学生の親身になって良識ある採用活動をしている企業はたくさんありますし、こういうアプローチには振り回されずに活動している学生さんもたくさんいると思いますが、流されてしまう人が増える危険が高まるのも事実です。

採用活動、就職活動は恋愛、結婚と似たところがあります。双方にとって良い結果になるためには、駆け引きではなく、お互いの相性と信頼関係です。
できるだけ多くの人が自分に合った仕事にめぐり合える、企業にとっての良い採用活動、学生にとっての良い就職活動になることを願って止みません。


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