2014年7月14日月曜日

AO入試の退学率と新入社員の退職率に感じる共通点


読売新聞社の調査によると、志望理由書や面接を重視して合否を決めるAO(アドミッションズ・オフィス)入試で合格した学生の退学率が、入試方法別で最も高いことが明らかになったそうです。

記事では、「本来は学力試験で測れない意欲や能力を重視する試験だが、入学の半年以上前に合格が決まることなどで学習意欲を失わせているとの指摘があり、見直しを迫られる大学も出そうだ」と論評されています。

ただ、この調査の中身を細かく見ていくと、実は大学ごとに結構差があり、「準難関校」以上の退学率は総じて低く、選抜方法として一定の機能は果たしているという話や、数字を回答していない大学も90近くあるなど、まだ実態がつかみきれない要素が多く、一概に「AO入試は退学率が高い」とは言い切れない結果ではないかと思います。

この話題から感じたのは、新入社員の退職率にまつわる話との共通点です。
AO入試というのは、面接など学力検査以外の部分を重視するわけですが、これはまさに職歴がない学生を採用する新卒採用の場合と同じです。大学ごとの退学率に差があるのと同じく、企業ごとに退職率はまったく違います。

大学の場合は、「準難関校」以上の退学率は総じて低いとのことですが、この「準難関校」以上というのは、会社でいえば大企業にあたるのでしょうし、確かに大企業よりは中小零細企業の方が、退職率は高い傾向があります。また、一概に中小零細企業だからということではなく、会社間の差もかなり大きいです。

この大学ごとの差、会社ごとの差というのは、面接などで見極める力の差と、選考基準の線引きや受け入れ環境の違いに伴うミスマッチの可能性の差だと思います。

まず選考方法は、面接を中心に自己紹介書や志望理由書、エントリーシートといったもので行うので、AO入試も新卒採用もほぼ同じやり方です。ここで発生する差は、応募者が自分の学校や会社にフィットするかどうかを、面接などを通じて見極める力の差ということになります。

また、ある程度の人数確保を優先すれば、応募者の数に応じて選考基準は変わってきます。「準難関校」以下の学校や中小零細企業の方が、人数確保のために採用基準を下げたりする場合は多いでしょうから、その分ミスマッチの可能性は高くなります。

受け入れ環境ということでは、その人が持っているポテンシャルも含めた能力と、実際に与えられる環境との間でのギャップやレベル差が大きすぎると、これもやはりミスマッチにつながります。

「AO入試ではなく一般入試で」という話を採用活動に置き換えると、「面接ではなく筆記試験と適性検査重視で」と言っているのと同じことのように思います。これは採用活動では通用しない話です。

せっかく定着してきたAO入試です。簡単にやめるとか見直すなどと言わず、選考のノウハウを磨いて、より良い形で機能させることを考えた方が建設的なのではないかと思います。


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