2016年4月15日金曜日

「仕事のスピード感の違い」の話



ある会社で人材育成に関する打ち合わせの中で、「育つまで三年かかる」という話がありました。

ここだけ切り取れば至極妥当な話で、例えば新入社員が一人前になるには、普通に考えれば三年くらいかかりますし、人材育成には相応の時間がかかるものですから、このくらいの期間を見込むのは普通のことだと思います。

ただ今回の話で言えば、新しい事業展開に向けて、即戦力として必要なコア人材をどう育成していくかという話でした。三年かかってしまうと手遅れにならないかと少し心配です。

こういう「仕事のスピード感の違い」は、私のようなコンサルタントの立場では、結構良く感じることです。
「仕事のスピード感」というのは、実は自覚できているようでできていないことが多くて、例えば「私は仕事が遅いです」と自分から言うような人は、あまり多くはないと思います。基本的にみんな「自分は普通」なのです。

これはあくまでも一般論ですが、経営者と社員では、経営者の方が要求スピードが早く、営業と間接部門では営業の方が早く、民間と公的機関では、民間の方が早いという印象があります。意思決定をしなければならない立場の人の方が、「仕事のスピード感」は早い気がします。

個人の特性による差もあると思いますが、私自身のことで言えば、会社員時代のシステム開発現場にいた頃よりは、管理部門時代の方が慎重に時間をかける傾向だったと思いますし、その後独立してからの方が、ずいぶんせっかちになった気がします。

私の現状ではそんな感覚なので、今回の話に限らず「すぐにやればいいのに」と思うことが多いのですが、いろいろな事情があるのは十分にわかるので、やむを得ないと思うところもあります。
また、仕事をする上では慎重さも丁寧さも大事なので、何でも早ければよいということではありません。時間をかけてよく考え、じっくり慎重にやることも必要です。

ただ、私がいろいろな会社を見ている中で、最近特に思うのは、多少拙速と思っても、とりあえずやり始めて、やりながら考えた方が、その後の結果はよいということです。仮に万全と思える準備をしていたとしても、その後の試行錯誤の度合いは、結局あまり変わっていないように思うからです。

やはり環境の変化は激しいですし、先の見通しは立てにくい時代になっています。やりながら、動きながら、考えながら、臨機応変に修正しながら進めることが必要なのだと思います。

仕事の進め方というのは、人によってそれぞれ固有のペースがあります。「遅すぎる」「雑すぎる」など、そこに問題があると思っていても、ペースを急に変えるのは難しいことです。また、要求される変化が、「今までよりもゆっくりやる」というならまだしも、「今より早くする」というのはさらに難しいです。

それでも今はやっぱり、スピードの方が優先される時代なのだと思います。

人それぞれが適当と思う「仕事のスピード感」はあるとして、これからはそれをほんの少しだけでも早めていく意識が必要ではないかと思います。特に事前準備に時間をかけすぎたり、余裕が欲しいだけでスケジュールを先延ばしにしたりすることは、できるだけ減らしていく方が良いです。
急には変えられなくても、これからは「ちょっとだけせっかちに」が良いと思います。


0 件のコメント:

コメントを投稿