2016年4月6日水曜日

ブラック企業を警戒する「ドローン型」新入社員に思うこと



日本生産性本部が毎年恒例の新入社員のタイプを発表し、2016年度のタイプは「ドローン型」ということです。

その理由は、「就職活動日程や経済状況が目まぐるしく変わる“強い風”にあおられながらも、希望する就職先への内定という“目標地点”に着地した者が多い」という分析からだそうです。

また、企業に向けて添えられた注意書きには、「充電式なので長時間の酷使には耐えられず、夜間飛行の禁止や目視できる範囲で操縦しなければならないルールもあるため、ルールを守った運用や一定の技量(ワークライフバランスへの配慮や適性の見極め)も要求される」「使用者(上司や先輩)の操縦ミスや使用法の誤りによって、機体を傷つけてしまったり、紛失(早期離職)の恐れもある」と記されていました。

数日前に、あるカフェで私の隣に座った学生さんらしき二人組は、どうも自分たちのアルバイト先の仕事環境の話をしています。くわしい話はわかりませんが、「有休消化が・・・」とか「買い取りは違法・・・」とか、そんな言葉が断片的に漏れ聞こえてきます。何かしらの問題があるのか、自分たちで調べたり、他の人に相談したりしているようです。このように、労働条件や職場環境に関する意識が高まっているような話は、至るところで耳にするようになりました。

こういう話を、私と同世代の中高年や、企業で管理職や経営幹部の役割を担っている人たちに話すと、いい顔をする人はあまりいません。
「休みがどうこう言う前に仕事を覚えてほしい」「まずは修業期間なんだから」などと言い、中には「自分の新人の頃は、こんなことは言えなかった」「昔はみんなブラック企業みたいなものだった」など、ある種の開き直りのようなことをいう人もいます。
そして、多くの企業では、どちらかと言えば幹部や年長者が持っていることの多いこのような価値観に、新入社員を近づけよう引き込もうとします。
「若い力が必要・・・」などと言いながら、会社や組織、また社会全体を牛耳っているのは、結局は地位と名誉と権力を手に入れた、もう若くはない人たちです。

先輩や年長者が、新入社員に対して社会人としてのイロハを教えるのはとても大事なことですが、「自分たちの頃は・・・」といって、労働条件を無視した滅私奉公や、問答無用の上下関係や、男はこうで女はこうだという性差に基づく価値観などを言うことは、今はもう許されなくなっています。

つい先日も、ある会社での部長の発言に対して、若手社員からパワハラではないかという指摘をされたというトラブルの話を聞きました。部長の話を聞く限りでは、「ちょっと厳しい口調での指導」と言えなくもありませんが、ハラスメントというのは、相手がそう感じてしまったらそれはハラスメントになってしまいます。結局はそういうことを言い合える人間関係ができていなかったということで、昔は権威で押さえつけられたことが、もうそのようにはいかなくなっているということです。

ブラック企業を警戒する若手社員が増えたのは、ごく一部であってもそういう企業をのさばらせてしまった社会人の先輩である私たちの責任です。それは、まだ一方的に使われる立場になりがちな若手社員にとっては切実な問題で、警戒するのは当然だと思います。

「ドローン型」新入社員の取り扱いで書かれていることは、今後一層、会社として真剣に向き合っていく必要があることではないかと思っています。


0 件のコメント:

コメントを投稿